2分でわかるアメリカ

2010/08/06うまく説明出来ない最近の円高


今年4月から後半までの外国為替市場では、「ユーロ圏の債務危機が世界景気に波及する」として、ユーロはリスクが高いとして売られ、ドルと円は安全資産として買われました。

しかし、直近の相場は違った動きをしています。アメリカで弱い経済指標が発表されると、これまで安全資産とされてきたドルが、対ユーロと対円で売られるのです。  

CNBCは、「円とユーロは、それぞれ別の理由で買われている」と指摘しています。

ユーロは、ヨーロッパの銀行の健全性を審査するストレステストが終了、資本不足の銀行は予想より少なく、「ヨーロッパの銀行は意外と大丈夫」と見方が広がったことが影響しています。ただ、「ユーロは債務危機の前の状態に戻っただけ」として、ユーロの先行きに慎重な投資家、あるいはユーロに弱気な投資家も少なくありません。

一方、円高の背景は複雑です。金融危機の後FRBは、市場に資金を十分に流動させる量的緩和を実施、ドルの価値が低下しました。結果、アメリカの企業は輸出で競争力を持ち、業績の回復を助けました。ただ、日銀は、FRBよりさらに積極的に円高を阻止しようとしました。FRBは、低金利を長期間続けていますが、日銀はゼロ金利です。

では、なぜ円が高くなるのか。「中国が日本国債を買っている」「国の借金の90%以上を国内の投資家が持っている」などいくつかの理由があると説明する人が多いのですが、なんとなく納得出来ません。

ガートマン・レターで知られる投資情報会社を主宰するデニス・ガートマン氏は、「円が対ドルで上昇する理由はない理論的にも円高を説明できない」とコメントしています。

今夏の円高は、休暇でアメリカなどに旅行する人に大きなギフトとなりました。円相場がこれからどうなるのか。けさのウォール・ストリート・ジャーナルは、「95年の79円75銭を割り込むかもしれない」とする識者の見通しを掲載しています。明日6日のアメリカの雇用統計と金融政策を決める来週のFOMCが、その方向性を決めるかもしれません。その内容によっては、もっとうまく円相場を説明出来るかもしれません。

[August 05, 2010] No 010221

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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