2分でわかるアメリカ

2014/11/26意外!つぶしがきく日本人の職

アメリカの大手金融機関で富裕層を対象に投資アドバイスをしている日本人の男性は寿司職人でした。拠点にしているロサンゼルスに引っ越す前は、ニューヨークに住んでいました。マンハッタンの寿司屋で修行、お客さんの前で寿司を握るまでになったそうです。昨日お会いしたのですが、知的なルックスはどうしても寿司職人にふさわしいとは思えない。直に金融業界にいかず、なぜ寿司を握ったのか。

答えは、つぶしがきき、ヴィザが取得しやすいからです。日本人を含め外国人がアメリカ国内で働き、収入を得る場合、ヴィザ(査証)の取得が必要です。Fと呼ばれる学生ヴィザでは正式に働けず、専門職のH1B、企業から派遣された管理職向けのL、投資家や貿易に従事する人向けのE、そしてスポーツ選手や芸術家向けのOなどの有効なヴィザが無いとアメリカに長期滞在できず、収入を得ることができません。最悪の場合、強制送還になります。市民権もしくはグリーンカードと呼ばれる永住許可を持っている人は例外です。

それでは、ヴィザを取得して働けば良いではないか、と言われるかもしれません。しかし、簡単ではありません。アメリカ人ではなく、申請した外国人を雇わなくてはいけない理由を説明する必要がありますし、Eは、一定数のアメリカ人を雇用することを示す事業計画書などを提出する必要があります。H1Bは申請者が多く、審査される前にくじ引きがあります。

多くの日本人がヴィザで苦労しています。アメリカの大学を卒業したものの、ヴィザが取得できず、不法滞在する人の話をときどき聞きます。高い才能を持っているのに、ヴィザがないため、帰国を余儀なくされた日本人も少なくありません。

多種多様な職業がありますが、日本人の職業の中で、最もヴィザを取りやすいとされるのが「寿司職人」です。アメリカ人が出来ない職であり、「寿司」が広く普及したアメリカで必要な仕事だからです。寿司職人は、勤務するレストランが営業を停止しても、全米で求人が多く、比較的簡単に転職できます。実際に、ロサンゼルスからニューメキシコやニューヨークの店に転職した人を知っています。

移民専門の弁護士によりますと、昔は「空手」でヴィザを取得した日本人が多かったそうです。最近では、ヴィザを取得した「ラーメン職人」がいると聞きました。寿司職人と並ぶ、「つぶしがきく」日本人の職業といえるかもしれません。

 
[NOVEMBER 25, 2014]  No 01056500    

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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