2分でわかるアメリカ

2010/08/05B&Nは日本の書店の未来?


10歳の娘の好きなお店は、バーンズ・アンド・ノーブル。サンタモニカのプロムナードという商店街にある書店に、2週間に一度は行きます。ニューヨークには、ギャップとシティバンクと並び、「歩けばバーンズ・アンド・ノーブルにあたる」と言っていいほど、多くの店舗があります。バーンズ・アンド・ノーブルは世界最大の書店チェーンで、大都市から小さな町まで720店舗を全米に展開しています。

アメリカ人なら誰でも知っている有名書店チェーンが3日、会社の売却を検討していると発表しました。電子書籍に押されて店舗での販売が落ち込み、株価が低迷敵対的な買収攻勢を受けているためです

その落ち込みは、数字をみれば一目瞭然です。過去3年間の利益は、1億3580万ドルから7590万ドル、そして去年は3670万ドルに落ち込みました。利益が毎年半減しているのです。2001年に22億ドルあった時価総額は9億5000万ドルと半分以下になりました。これに対し、アマゾンの時価総額は、2001年の33億ドルから550億ドルと15倍以上になっています。

アメリカでは、本の値段が自由化されています。バーンズ・アンド・ノーブルも新刊などを割引しているのですが、アマゾンはその値段からさらに3割ほど安く売っています。書店で本を選び、アマゾンで安く買うという消費スタイルも定着しています。  

さらに、世界最大の書店にとどめを刺したのは電子ブックです。アマゾンのキンドルがヒットしたことを受けて、「ヌークと呼ばれる独自の電子書籍リーダーを発売したのですが競争が激しく伸び悩んでいます。iPadがシェアを拡大している他、Googleも近く電子書籍リーダーを発売する予定です。

バーンズ・アンド・ノーブルの身売りは時代を象徴するものです。売却で、バーンズ・アンド・ノーブルの店舗がすぐになくなるとは思いませんが、レコード店やレンタル・ビデオ店同様に、本屋の多くが閉店に追い込まれる可能性が指摘されています。日本の本屋でも同じことが起こるかもしれません。本屋好きの僕としては、ちょっと残念なのですが。

[August 04, 2010] No 010220

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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