2分でわかるアメリカ

2014/11/11冷たい時代へ?

東西冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」が崩壊してきのう9日で25年。当時、テレビ東京の報道局にいて、通信社からライブ配信された現地の映像に鳥肌がたったことを覚えています。「歴史が大きく変わった」と。

崩壊から約半年後。実際に現地を取材しました。ボンネットが紙でできた旧東ドイツ製のクルマや東ベルリンの家族を取材したことが、いまでも鮮明な記憶になっています。「政治が人々の生活をこれほど変えるのか」と。冷戦が終結し、崩壊から6年後にロシア人と結婚しましたが、冷戦が続いていたら、そもそも妻とは出会っていなかったかもしれないと思います。

ベルリンの壁崩壊の立役者の1人だった旧ソビエト書記長のゴルバチョフ氏は、ドイツで開かれたシンポジウムで、「世界は新しい冷戦の瀬戸際にある」という見方を示しました。政府軍と親ロシア派との戦闘が続くウクライナ情勢を念頭においたもので、「パートナー国の利益を無視した近視眼的な政治の結果だ」として、欧米諸国、特にアメリカを批判しました。

一方、ドイツのメルケル首相は、ベルリン市内の記念イベントで、「壁が崩壊したことは、物事を好転することが出来ることを教えてくれた。願いはかなう。」と語りました。ゴルバチョフ氏が警告した「新しい冷戦」には言及しませんでしたが、ウクライナやシリア、イラクなどで混迷が続いていることを念頭においた発言でした。

「ベリルンの壁」崩壊から25年の9日、アメリカの主要メディアは、ハンガリーがロシアに接近していると報じました。旧ソビエト圏のハンガリーはいま、EU とNATOの加盟国ですが、オルバーン首相はプーチン大統領と親しく、関係を深めようとしていると伝えています。また、シリアとイラクに国境を接するトルコはNATO加盟国ですが、シリアなどの扱いを巡ってアメリカとの関係が微妙になっています。

アジアでは、中国とアメリカ、そして日本の関係が不安定です。北京で行われた日中首脳会談について、日本のメディアは「関係改善に努力」と伝えました。しかし、欧米メディアは異なるトーンで報じています。The Wall Street Journalは、「凍り付いた握手」との見出しで、中国の習国家主席は、安倍首相の挨拶に応えるのを拒否したと関係の冷たさを描きました。

冷戦時代に戻ることは、どう考えてもないと思いますが、東西の「新しい冷たい時代」になりつつあるのかもしれません。

 
[NOVEMBER 10, 2014]  No 01056489    

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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