2分でわかるアメリカ

2014/11/07テイラー・スウィフトだから出来た

アメリカのシンガーソングライター、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)さんが、ニューアルバム「1989」のプロモーションのため、今週、日本を訪問しました。テイラー・スウィフトさんのファンは「スウィフティーズ」と呼ばれます。多数のスウィフティーズやメイクなどをまねた「テイラー女子」が空港で迎えたとブログで知りました。

日本の「めざましテレビ」や「スッキリ!」に出演したようですが、テイラー・スウィフトさんはいま、アメリカのニュース番組をにぎわせています。当たり前ですが、日本に行ったからではありません。世界最大の音楽ストリーミング会社のスポティファイ(Spotify)から、最新の「1989」を含めた全アルバムを削除したことが議論を呼んでいます。テイラー・スウィフトさん自身が削除を求めたものです。

これはテイラー・スウィフトさんの挑戦状です。スウィフトさんは、今年7月にThe Wall Street Journalに寄稿、この中で「音楽は無料であるべきではない。将来はアーティストとレーベルがアルバムの価値を決めることになる」と主張しています。http://on.wsj.com/TZe1iB

背景には、若い層がアルバムを買わなくなったことがあります。ティーンエイジャーの娘は、音楽のほとんどをYouTubeで聞いていますが、アメリカでは誰もがそうしています。去年は、ケイティ・ペリーやレディ・ガガ、ビヨンセなど大物が相次いでアルバムを発表、いわゆる「当たり年」でした。しかし、アルバム全体の売上高は前年比で7%超マイナス。ニールセンのデータでは、今年上半期は前年同期比で14%のマイナスです。ナップスターが2000年に登場して以降10年で、アルバムの販売枚数は3分の1以下に減りました。減少はいまも続いています。

スウィフトさんが撤収したスポティファイは、定額制です。アーティストには、プレイされるごとに0.6セント-0.84セントが支払われます。少しでも多く稼ぎたいアーティストは、会員数が多いので、安くても条件を受け入れざるを得なくなっています。

スウィフトさんの「1989」は発売1週間で128万7000枚売れました。今年最大のヒット作であり、3アルバム連続のミリオンセラーです。スウィフトさんは、世界で最も稼ぐアーティストだと言えます。だからこそ、スポティファイに強気に対応できたという面もあると思います。

いずれにせよ、スウィフトさんの挑戦は、著作権、音楽ビジネス、芸術、そしてネット文化に絡むもので、注目に値すると考えます。

 
 [NOVEMBER 06, 2014]  No 01056487    

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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