2分でわかるアメリカ

2014/11/06クルーグマンの日本観

ニューヨークのウォール街に勤める友人と電話で話をした際、ポール・クルーグマン氏がニューヨーク・タイムズに書いた日本に関するコラムが話題になりました。友人は「非常に面白かった」と話しています。

「Apologizing to Japan(日本への謝罪)」と題するコラムが10月30日のニューヨーク・タイムズに掲載されました。コラムは、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏が書いたこともあり、日本のメディアでも取り上げられました。東京新聞は「欧米経済、もっと悪い。クルーグマン氏 日本に謝罪」、スポーツニッポンは「クルーグマン氏 批判してきた日本に謝罪コラム」との見出しがつけられました。日本の政策への批判が間違いだったから謝罪する、との印象を受けますが、コラムの主旨は少し違います。http://nyti.ms/1q8VASn

コラムの中でクルーグマン氏は、自分自身やFRBのバーナンキ前議長が、日銀の景気対策が慎重すぎると批判してきましたが、いま振り返ると、ヨーロッパの方がもっと酷いと釈明しています。批判したことを謝罪したのではなく、もっと酷い例があったという訳です。特に、2011年にECBが1.5%利上げし、景気後退の引き金を引いたこと、そして、スウェーデン中銀が、日本のデフレを研究していた副総裁の忠告を無視して利上げし、悲惨な結果を招いた具体例をあげています。

クルーグマン氏のコラムは、日銀の「ハロウィーン緩和」の前に書かれたものですが、11月4日付けで別のコラムを寄稿しました。この中では、日銀がお札を刷り続けること(大胆な金融緩和)への批判があること、そして日本政府による増税に対する圧力が強いことなどを指摘しています。その上で、クルーグマン氏は、日本で起こっているのと同じことが、他の先進国でもあったと指摘しました。ただ、この問題に関しては、引き続き考えたいとして、批評を先送りました。http://nyti.ms/1zuJknw

クルーグマン氏は、日本滞在中に明治神宮を訪問、「かわいい」文化をみるために原宿を歩き、「オタク」文化を知るために秋葉原にも行ったと報告する別のコラムも書いています。http://nyti.ms/1s0U8R

クルーグマン氏が「流動性の罠」を発表して、日本の金融業界などで大きな話題を集めてから16年。日本も世界も大きく変わりました。クルーグマン氏は近い将来、新たな「日本観」をまとめて書くのではないかと予想します。楽しみです。

 
 [NOVEMBER 05, 2014]  No 01056486    

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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