2分でわかるアメリカ

2014/10/15日本経済の陰り

東京に出張で来ています。4か月ぶりの日本ですが、円相場が大幅に安くなったことで、ドル換算でモノの値段を見ると、ホテル、レストラン、タクシーなどが安く感じます。106円で計算してもそう感じます。日本の政府関係者の一部で「円安の悪い影響」をけん制する発言がでていますが、円安で日本の購買力が想像以上に落ちているのではないかと感じます。

習慣的に東京でタクシーに乗るごとに「景気」を聞いています。4か月前と比べ、「景気が悪い」と感じているタクシー運転手が多いことに少し驚きました。都内に約250台のタクシーを走らせている独立系の運転手は、去年と比べ売り上げ平均が2000円落ちたと嘆いていました。4月に消費税が引き上げられて以降、悪い状態がグループ内の全てのタクシーで続いていると話しています。個人タクシーの運転手も「景気が非常に悪い」と首を振っていました。別の大手タクシー会社の運転手も同様でした。これだけ多くのタクシーの運転手の口から「景気が悪い」と聞くのは久しぶりのことです。

IMFが先週7日に発表した世界経済見通しの報告書の中で、世界経済見通しを7月時点の予想と比べ0.1ポイント下方修正しました。ドイツの見通しは0.5ポイント、フランスは0.4ポイント、イタリアは0.5ポイント引き下げました。一方で、アメリカの予想は0.5ポイント引き上げました。先進国の中で最も修正幅が大きかったのは日本。0.7ポイント下方修正され0.9%の成長予想でした。

アベノミクスで円安誘導したのは、日本の輸出競争力を高め、景気を刺激する狙いがありました。最初は幅広く歓迎され、日経平均株価も大幅に上昇しました。しかし、いまはネガティブな効果の方が大きいのではないかとさえ思えます。タクシーの運転手の実感は、下方修正されたIMFの見通し以上に弱いものでした。

Financial Timesは、安倍首相の「3本の矢」は明らかに的を外している。理由はそもそも矢が3本ないことで、あるのはたった一本、通貨の下落のみだと伝えました。その上で「円安がかつては常に有効な公式だったが、もはやそうした効果はない」と解説しています。


[OCTOBER 14, 2014]  No 0105640

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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