2分でわかるアメリカ

2014/10/11「お金持ちの掟 56」トウ小平とオバマ

アメリカのホテル大手ヒルトンが今月 6 日、傘下の高級ホテル、ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークを売却しました。ウォルドーフ・アストリアは 1893 年開業し、旗艦ホテルのニューヨークは1931 年にマンハッタンのミッドタウン・パーク街に建設。1949 年にヒルトン創業者のコンラッド・ヒルトン氏が経営権を得ました。

ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークは、数々のハリウッド映画の舞台になったほか、国連本部が近いこともあり、オバマ大統領をはじめ各国の首脳の定宿としても知られています。いわゆる「ニューヨークの顔」「アイコン的な建造物」の一つです。

買ったのは中国の保険大手、安邦保険グループで、金額は 19 億5000 万ドル(約 2100 億円)。1413 室ありますので、一室当たり138 万ドルで買い取る計算になります。安邦保険が投資資金を回収するには 10 年程度かかると見られています。ホテル運営は、今後100 年間、ヒルトンが継続するそうです。

ウォルドーフ・アストリア・ニューヨークを買収した安邦保険は、中国の改革開放政策を推進、「社会主義経済の中の市場経済」の生みの親とされるトウ小平氏と関係が深いと Financial Times が報じました。安邦保険の創業者は富豪ですが、配偶者はトウ小平氏の孫娘です。中国の新旧のリーダーとも非常に近い関係にあるということです。

米中関係が微妙な中、中国共産党のリーダーと親しい会社がオーナーのホテルに、オバマ大統領が宿泊するという皮肉な状況が今後ありそうです。1989 年 10 月に三菱地所がニューヨークのロックフェラー・センターを当時のお金にして 2200 億円で買収した際、「ジャパンマネーがアメリカのランドマークを買った」と批判されました。アメリカでジャパン・バッシングが広がるきっかけの一つになりました。今後も、中国マネーが「アメリカの象徴」を買い漁る可能性が高いのですが、まだチャイナ・バッシングには至っていません。

[OCTOBER 10, 2014] No 0105638

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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