2分でわかるアメリカ

2014/10/10ドル高がアメリカ経済に与える影響

アメリカでは、強い通貨が国家の強さだと長らく言われています。通貨が強いと購買力が強化、海外からアメリカへの投資が増えることが期待されるからです。アメリカ政府は、相対的にドルが高いときも低いときも、一貫して「強いドル」を主張してきました。ただ、余りにも急ピッチな通貨の上昇は幅広い影響が出るのではないかとの見方が一部で出始めました。

主要通貨に対するドルの動きを示すドル指数は今年5月から7%上昇しました。特に過去1ヶ月では、ドルは対ユーロで急上昇、対円でも大幅に高くなりました。今週に入りドル買いは一服しましたが、ドル高基調が続くとの見方が優勢です。

FRBが8日、9月16日と17日に開催したFOMCの議事要旨を公表しました。この中で、2、3人のFOMCメンバーが、ドル高がアメリカ経済の一部に悪影響を及ぼし、長期的なインフレ期待が若干後退するかもしれないと指摘しました。「基軸通貨」の国の中銀会合で、為替相場が話題になるのは珍しいことです。

ウォール街では、7-9月期の決算発表期を迎えています。The Wall Street Journalによりますと、S&P500指数に採用された大手企業の売上高の約46%は海外。ドル高が業績に影響することは明らかです。アナリストは、海外の比率が高い会社の業績見通しを相次いで下方修正しました。

自動車大手GMとフォードの海外比率は合計で42%。株価は過去1ヵ月で18%下落しました。その一方で、円安ドル高の恩恵でトヨタの株価は同じ期間に0.5%しか下がっていないとThe Wall Street Journalは指摘しました。

来年の6月か7月、遅くとも9月には、FRBが利上げに踏み切ると見られています。対照的に、日銀とECBは追加緩和を実施すると予想されています。金融政策の方向の違いを背景に、ドル高が相当期間続きそうです。余りにも急ピッチで進むと、「ドル高懸念」がアメリカ国内で一段と高まる可能性があります。
 
 
 [OCTOBER 09, 2014]  No 0105637

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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