2分でわかるアメリカ

2014/10/01ウォール街が懸念する香港

前日29日のニューヨーク株式相場は荒い値動きが続きました。ダウが3桁下げてはじまり、その後買い戻され、再び売られて3桁下げるといった展開が続きました。不安定です。最大の要因は地政学リスクです。といっても、ウクライナ情勢や中東情勢への懸念ではありません。世界的な金融センターの香港です。中国との経済関係が深いオーストラリアドルやニュージーランドドルが軟調な理由の一つにもなっています。

香港のトップを決める行政長官選挙をめぐり中国政府は、承認した候補者のみ出馬できるという新ルールを決めました。つまり「普通の選挙」を制限したのです。これに民主派が反発、今月はじめから断続的に抗議行動を展開しました。抗議行動は28日に急拡大、香港中心部を占拠しました。抗議行動は香港島の対岸にあるカオルーン地区にも拡大、HSBCやシティバンクなど多くの銀行が営業を見合わせました。

流血の事態には至っていませんが、多数の死傷者を出した1989年6月の天安門事件を思い起こさせる大規模な抗議行動に発展しています。Time誌は、香港の活動家は、永続的な経済発展のために中国から独立した行政府を求めている、と報じています。

1997年にイギリスから中国に返還された香港は、過去17年、「中国の窓口」として発展してきました。シルバークレス・アセット・マネージメントのストラテジストは「中国へ巨額の投資をしている多くのタイクーンやエリートが非常にナーバスになっている」とCNBCにコメントしました。別の資産運用会社の創業者は、長期的な視点で香港が不透明になっているとの見方を示しました。

香港では10月4日から11月にかけてオークションの季節になります。サザビーズは、ダイアモンドから時計、ワイン、絵画など少なくとも17のオークションを開催します。今や香港は、世界最大のオークション地の一つに発展、香港と中国だけではなく、アジア全体のほか、欧米からも参加者がいます。抗議デモが拡大すれば、「オークションの都としての香港」に傷がつくことも予想されます。観光業に影響することも必至な状況です。

3日目を迎えた大規模な抗議行動は長期化する様相をみせています。突発的な事件が、株式相場や為替相場に大きく影響する可能性があります。明日10月1日は中国の建国記念日にあたる国慶節。香港政府は、国慶節を祝う花火の打ち上げを取りやめることを決めました。
 
 
 [SEPTEMBER 30, 2014]  No 0105630

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.07.19 更新トランプ関税、今度はウラン?※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(17日更新)はこちら(マイページへログイン)先月末から今週初めにかけて、北朝鮮が高濃縮ウランの生産を強化…
  • 2018.07.18 更新ゴールドマンの次期CEOはクラブDJ※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(17日更新)はこちら(マイページへログイン)アメリカの金融機関大手ゴールドマン・サックスが17日、第2四…
  • 2018.07.17 更新遅刻の常習プーチン、擁護したトランプロシアのプーチン大統領は遅刻常習犯として知られています。日本の安倍首相、ドイツのメルケル首相、イギリスのエリザベス女王、ローマ法王をはじめ数多くの要人との会談に…
  • 2018.07.14 更新「対中関税確率60%」、イバンカさん打撃※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(9日更新)はこちら(マイページへログイン)アメリカのトランプ政権が今週10日、中国から輸入する2000億…
  • 2018.07.13 更新トランプ大統領の交渉術※今週の相場がまるわかり『Weekly投資戦略ガイド』(9日更新)はこちら(マイページへログイン)ベルギーのブリュッセルに駐在していた際、空港近くにある北大西洋…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ