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2014/09/27「お金持ちの掟54」富豪は“キャシュ・イズ・キング”

2001年のニューヨーク同時多発テロや2008年の金融危機の際、多くの投資家はリスクが高いとされる株式などを大量に売り、現金の持ち高を大幅に増やしました。マーケットが落ち着くと再びリスク商品を買い始めます。

いまのニューヨーク株式相場は過去最高に近い水準にあり、投資家がリスクを取っていることを反映しています。使い切れないほどの資産を持つビリオネアも積極的に株式などを買っていると当然考えられるのですが、違いました。

ウェルスXとUBSがビリオネア(個人資産が約1090億円超の人)を対象にした最新の調査では、世界のビリオネアは現金持ち高を増やしていることがわかりました。平均で6億ドル(約654億円)の現金を保有。これはドミニカのGDPに相当するとCNBCが伝えました。

1年前の平均持ち高は6000万ドル(約65億円)でしたので、ビリオネアは現金持ち高を10倍に増やしたことになります。日本人は現金を多く持つ傾向がありますが、現金をほとんど手元に置かず、大半を投資に回す欧米では異例のことです。現金嗜好が強い中国や西側との緊張が深刻で不透明なロシアなどのビリオネアが安全な現金を増やしているとも考えられます。

調査報告書は「多くのビリオネアが現金を投資に回さず流動性を高めたことは、タイミングを待っているサインだ」と分析しています。富裕層に人気がある不動産の平均所有は1億6000万ドル(約174億円)で、現金持ち高の5分の1程度でしかありません。

UBSの富裕層部門の投資責任者は、「2008年から2009年に起こった金融危機、その後のヨーロッパの債務危機が心理的に影響、安全な現金を増やすことに繋がっている」と報告書でコメントしました。ただ、インフレにより現金の価値が低下する恐怖があり、一定のリスクをとるよう助言しているとしています。

世界の主要マーケットの株式相場は、2012年と2013年に大幅に上昇しました。アメリカの不動産相場は2013年に強い上昇をみせました。見方を変えると、ビリオネアは投資のタイミングを逃した、乗り遅れたとも言えます。ただ、少しぐらい儲け損なっても影響ないほど持っているので、ビリオネアは気にしていないのかもしれません。
 

 [SEPTEMBER 26, 2014]  No 0105627

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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