2分でわかるアメリカ

2014/09/24「円安で日本人が貧乏になる」

ドルの主要通貨に対する動きを示すドル指数が先週末までに10週連続で上昇しました。週間ベースの話です。ドイチェバンクによると、10週連続のドル上昇は、1971年にニクソン大統領(当時)がドルの金とのペッグ、いわゆる金本位制の廃止を宣言して以降で最長です。レーガン大統領はかつて「強いドルはアメリカが強い証だ」と主張しましたが、本当にそうなのか。

CNBCでコメンテーターをしているローレンス・クドロー氏とステーフン・ムーア氏は共同で「王様ドルの復活は強いアメリカを示すのか」と出したコラムをCNBCサイトに連名で寄稿しました。

この中でクドロー氏らは、FRBの政策のほか、アメリカ企業がコスト削減などで世界の中で最も成長していること、シェールガス革命で燃料費が低下したこと、そして外国の資本がアメリカに集まっていることなどが背景にあるとしています。

その上で、1960年台、1980年台、1990年台などをみても、アメリカの持続的な成長と生活水準の向上は強いドルと連動しているとしています。ドル高により商品相場、ガソリン価格が下落、消費者物価指数は過去12ヵ月でわずか1.7%しか上昇していないと指摘しました。さらに、ドルが強いことで、アメリカ人の購買力が高くなったと主張しました。

面白いのは外国との比較です。強い通貨と繁栄の関係は多くの国で確認できず、輸出競争力を上げるため、多くの国が通貨価値を切り下げていると指摘しています。そして、その典型的な例が日本だとしています。輸出力をつけるために円を安くしたが、消費税引き上げで景気が低迷していると指摘しました。その上で、「日本人は経済を成長させるため、国民を貧乏にしている」とコメントしました。

円相場が90円前後の頃、東京の物価が「アメリカとほぼ同じ水準」だと感じました。いまのレートで東京と欧米のホテルの価格を比較すると、東京のホテルの安さが際立ちます。今月9日、アップルがiPhone6を発表した際、日本の新聞は日本、香港、アメリカの本体価格を円換算で比較しました。かつてはアメリカが最も安く、2番目は香港でした。しかし、いまは日本が最も安くなっています。日経平均株価が上昇する局面が増えましたが、ドル換算するとほぼ横ばいです。

地政学リスクも影響して目先はドル買い円売りが一服しています。しかし、円安ドル高基調が続くとの見方が依然として優勢です。「円安ドル高は始まったばかり」という見方が少なくありません。「弱い円は日本が弱い証」、とアメリカ人は考えるかもしれません。
 
 
[SEPTEMBER 23, 2014]  No 0105624

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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