2分でわかるアメリカ

2014/09/13「お金持ちの掟52」富豪好みのクルマ

友人のロシア人富豪は、モスクワで2台のクルマを所有しています。メルセデスSクラスとBMW7シリーズ。もちろん運転手付きです。子供の夏休み中にイタリアのトスカーナ地方に滞在する際は、2人の運転手を呼び寄せ、メルセデスEクラスとメルセデスのミニバンを長期でレンタルします。ロサンゼルスではリンカーン。専任の運転手が乗り馴れているからです。自身が運転することは稀ですが、それでもときどき乗りたくなります。

自分でハンドルを握る際は何に乗るか。友人が選んだのはフェラーリでした。一日のレンタル台は2000ドル(約21万5000円)。ロサンゼルスで1週間借りました。なぜ、フェラーリなのか。独特の雰囲気が好きだと言います。

イギリスの調査会社クリアが広告代理店のM&Cサーチと共同で実施した世界で最も憧れる20ブランドで、フェラーリはランキング3位でした。全ての分野のブランドが対象で、クルマのブランドはフェラーリだけ。トップはApple、2位はiPhoneでした。日本ブランドはひとつも入っていません。

もう一つ。少し古い調査ですが、MPPコンサルティングが2012年に実施したイタリア・ブランドに関するアンケート調査では、価値が最も高いとされたのはフェラーリでした。2位はプラダ、アルマーニ、グッチが続きます。クルマで次に評価が高かったのはランボルギーニで全体の13位でした。

フェラーリの人気がどこにあるのか。セクシーなデザインや独特のエンジン音。ランボルギーニより親しみやすく、手が届かないほど高価というのが理由として考えられます。そして背景には、販売台数を制限し、希少性を高めるブランド戦略があります。

しかし、その戦略を巡りフェラーリのルカ・ディ・モンテゼーモロ会長と発行株式の90%を所有する親会社のフィアットのセルジオ・マルキオーネ会長の対立が表面化しました。結局、販売台数を7000台に抑えたいモンテゼーモロ会長が辞意を表明する結果になりました。モンテゼーモロ会長は、フェラーリ創業者のエンツォ・フェラーリ氏の側近として知られ、23年間に渡り経営を率いてきた「フェラーリの顔」です。モンテゼーモロ会長の辞任は、創業者時代が終わったことを意味します。

フィアットのマルキオーネ会長がフェラーリの会長を兼務することになりますが、販売台数を年1万台以上に増やし、上場も検討することが予想されます。フェラーリが、世界の富豪が好む「特別なクルマ」であり続けるかどうか、マルキオーネ会長の手腕が問われます。

 
 [SEPTEMBER 12, 2014]  No 0105617







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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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