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2014/09/02「変動の9月」、年末までの方向決めるか

日本の金融関係のレポートの中で「アノマリー」という言葉を良く目にします。ANOMALY(アノマリー)を直訳すると、変則、もしくは例外。マーケットでは、はっきりと理論的に説明できないものの、よく当たるとされる経験則をこう呼びます。外国為替市場や債券市場より、株式市場に「アノマリーが存在する」といわれています。

ニューヨーク株式市場の9月のアノマリーは「ボラティリティが高まり、軟調になる傾向がある」です。背景には、夏休みを終えた投資家が戻り、売買高が増えること。そして、10月末までに損益を確定することを条件にミューチュアル・ファンドへの課税を回避する制度があることなどが背景にあるとされています。シティバンクによると、S&P500は過去30年で16回下落していて月間ベースでは最も多い月。騰落率はマイナス0.7%で、最もパーフォーマンスが悪い月です。The Wall Street Journalは、過去20年、過去50年、過去100年の全ての期間で下落したのは9月だけだと伝えています。

しかし、2008年の金融危機後の5年間では、ニューヨーク株式相場は5回のうち4回上昇しています。つまり、アノマリーが当たっていません。今年、2014年はどうでしょうか。

材料は豊富です。まず、世界の主要な2つの中央銀行の金融政策を決める会合です。今週の4日木曜日にはECB理事会が開かれますが、追加緩和を決める可能性があります。17日にはFRBがFOMCを開きます。量的緩和(QE3)を10月に終了する計画ですが、その後の利上げの時期を示唆する内容となるかに注目です。米欧の金融政策の方向の差が一段と広がれば、外国為替市場にも大きく影響することになります。

FRBの方向を占う上で、5日金曜日に発表されるアメリカの8月の雇用統計がこれまで以上に注目を集めています。「質の高い雇用統計」になった場合はタカ派寄り、つまり、FRBが利上げ時期を早める可能性があるとみられています。逆に労働参加率などが伸び悩み「質の低い統計」になった場合、マーケットがやや混乱する可能性もあります。

「ワイルドカード」は地政学リスクです。イラクとシリアの「イスラム国」をめぐる情勢、さらにウクライナ情勢をめぐるロシアと西側の緊張が引き続き株式相場に大きく影響すると指摘されています。一方、9月18日には、英国からの離脱を問うスコットランドの住民投票が実施されます。「現状維持」多数と予想されていますが、それに反する結果になった場合は、マーケットに大きく影響しそうです。

11月4日にアメリカの中間選挙が実施されますが、マーケットの関心はいま「9月」にあります。「60%の調整がある」との超悲観論の見方も一部でありますが、大半は調整があったとしても一時的とみています。ただ、「9月が年末までの方向を決める」という見方が少なくありません。レーバーデー明けの2日から、アメリカの9月の取引がはじまります。
 
 
[SEPTEMBER 01, 2014]  No 0105608

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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