2分でわかるアメリカ

2014/08/27空爆拡大の方向、シリアにも

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」は、英語では一般的にISISと呼ばれます。Islamic State of Iraq and Syriaの略語で、「イラクとシリアのイスラム国」という意味です。第一次世界大戦中の1916年にイギリス、フランス、ロシアの間で結ばれたオスマン帝国を分裂したサイクス・ピコ協定を否定し、武力によりイスラム世界の統一を目指す組織です。

アメリカのオバマ大統領は今月8日、アメリカ人やクルド系少数民族の保護を目的にイラク北部を支配するISISの拠点へ空爆をはじめました。「限定的な攻撃」であることを繰り返し強調しましたが、空爆は既に90回を超えました。そしていま、空爆を含めた軍事介入をシリアにまで拡大することを検討しています。

きっかけは、アメリカ人ジャーナリストが首を切られた残忍な映像がYouTubeなどで流されたことです。シリアで拘束されたジェームズ・フォーリーさんを巡っては、ISISから1億ユーロ(約137億円)という法外な身代金を要求されましたが、アメリカが拒否、その結果として殺害されました。これを受け、アメリカ政府はシリアにあるISIS指導者の居所や訓練キャンプを空爆する準備に入りました。

ISISは、アルカイダより警戒すべきテロ組織であることがわかってきました。最大の理由はリソースです。属する兵士の数は3万から4万人。保有する現金と資産は推定で20億ドル(約2000億円)以上とされています。ハフィントンポストによりますと、複数の銀行から数億ドルを強奪、イラク陸軍からも数億ドル相当の軍事物資を手に入れました。また、闇市場で石油とガスを売り、一日当たり300万ドル(約3億円)を売り上げているとみられています。ISISの兵士にはイギリス国籍が1000人以上いるとされていて、欧米にビザ無しで渡航できるため、テロへの警戒も高まっています。

The Wall Street Journalは、シリアへの攻撃はオバマ大統領の大きな方針転換を意味すると伝えました。イラク国内のISISへの空爆を決めた際も「方針転換」と伝えられました。今度はブッシュ元大統領に近い「戦う大統領」への転換です。

「影のCIA」と呼ばれる地政学分析で定評があるストラトフォーのジョージ・フリーマン氏は、中東の宗派・部族間の闘争は10年以上に渡って続くと予想、サイクス・ピコ協定でつくられた人為的な民族国家は引き裂かれるだろうとバロンズ誌にコメントしました。アメリカが深く絡んだ泥沼の状況に発展する可能性があります。オバマ大統領は26日までに、シリアへ偵察機を派遣することを承認しました。
 
 
[August 26, 2014]  No 0105604

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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