2分でわかるアメリカ

2014/08/15FRBが心配するレポ市場

アメリカの金融市場の資金移動で基礎的な役割を担っているレポ市場が不安定になっているとThe Wall Street Journalが報じました。ニューヨーク連銀のダドリー総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁が指摘したとしています。

レポ市場は一般的に知られていませんが、金融業界、特に債券市場では短期資金を調達する場として知られています。日本のレポとは少し違うのですが、アメリカでは、ヘッジファンドなどが米国債などを買い戻すことを条件に売却して短期資金を調達します。日本語で「買い戻し条件付き債券売買取引」と訳されます。買い手はマネーマーケットファンドなどです。この取引では、銀行が買い手を探す仲介者的な役割を担っています。

しかし、ゴールドマン・サックスやバークレイズをはじめとする大手銀行が「ミドルマン」としての業務を縮小したことで、市場が変調しはじめました。背景には、まだ完全に施行されていませんが、2010年に成立したドッド・フランク法と一般的に呼ばれる金融規制改革法の影響があります。さらに、FRBが量的緩和(QE)で米国債を大量に購入した結果、米国債の流通量が大幅に減少したことが、レポ市場に大きな影響を与えています。

Bloombergは先月、レポ市場で、債券の受け渡しが予定通りに行われない「フェイル」が金融危機以来で最も高い確率で発生していると伝えました。FRBによる量的緩和の意図しなかった副作用だとしています。

レポ市場で起こっていることは債券市場の流動性の危機といえます。債券市場は落ち着いて見えますが、ジャンク債市場の他に、金融システムに不可欠なレポ市場でも不安定さが増しています。マーケット全体や経済にどう影響するのかは未知数ですが、懸念材料の一つになりはじめています。
 
 
 [August 14, 2014]  No 0105596

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.01.19 更新NY連銀総裁の警告不法移民を減らし、麻薬取引や人身売買などの犯罪を撲滅するためメキシコとの国境にスティール製の壁を建設するとのトランプ大統領の公約。国境警備の強化には賛成するもの…
  • 2019.01.18 更新ウォール街、株強気派増える17日のニューヨーク株式マーケットでは、モルガンスタンレーの決算が予想を下回ったことなどが影響し売りが先行しました。ただ、下げ幅は限定的。後半の取引で上昇に転じ…
  • 2019.01.17 更新メイ首相続投、5つのシナリオメイ首相が提示したEU離脱協定案の賛否を問うイギリス議会下院の投票が15日夜実施され、反対多数で否決されました。メイ首相が率いる与党・保守党からはEU離脱派と残…
  • 2019.01.16 更新政府閉鎖のネガティブ効果メキシコ国境の壁建設の予算をめぐるトランプ大統領と民主党の対立が続いています。解決に向かう兆候はまったくみられません。9つの省庁の予算が切れ、政府機関の約25%…
  • 2019.01.15 更新破たんした電力会社、どうなるカリフォルニアで起きた山火事をめぐり、一因をつくったとされる電力大手PG&Eが今月29日にチャプター11(日本の民事再生法に相当する連邦破産法第11条)の適用を…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ