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2014/08/12イラク軍事介入は長期化へ

「問題は何週間かで解決できるとは思わない。長期的なプロジェクトだ」。2週間の夏休みを過ごすマサチューセッツのマーサズ・ヴィニヤードへ出発する前の9日、イラクへの軍事介入の目処に関する記者の質問に、オバマ大統領が語ったものです。オバマ大統領は、イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」(英語ではISIS、アイシスと発音)の施設などへの空爆や避難民への空からの食料支援を、期限を設けず継続する方針を明らかにしました。

イラクへの軍事介入を躊躇していたオバマ大統領が政策を転換、先週木曜日の7日に突然、イラクへの軍事介入を決めた背景には、「第2のベンガジになる」との恐怖がありました。

2012年9月11日、リビアの都市ベンガジにあるアメリカ領事館とCIAの活動拠点がテロリストに襲撃され、大使を含む4人が殺害されました。オバマ政権は当初「襲撃事件の発端はYouTubeに投稿されたイスラムを侮辱する映画であり、政策の失敗ではない」と繰り返し説明しました。しかし、去年5月にリークされたメールなどで、実際には、CIAや現地から過激派の脅威について繰り返し警告を受けていたにもかかわらず、オバマ政権が警告を無視し、対応をとらなかったことが表面化しました。それ以降、オバマ大統領や外交首脳が激しい批判にさらされました。「ベンガジ」はオバマ大統領の外交の弱さを象徴する言葉になりました。

先週になって、イラク情勢の悪化や難民が4万人に達したことなどが詳細にオバマ大統領に報告され、同時にアメリカの外交官や兵士がいるクルド自治区アルビルが危険だと警告されたことで、オバマ大統領は大きな決断をしました。対応が遅れベンガジの二の舞となることを避けるため、やむを得ない政策転換でした。

オバマ大統領が先週、空爆を支持したと発表した際、アメリカ人を保護し、避難民を支援することが目的だと強調しました。しかし、2日後の9日には、イラク政府を長期的に支援し、過激派組織と戦える力をつけさせることが必要だと発言しました。

週末のThe New York Timesは「オバマがイラク空爆の長期化を警告」の見出しで大きく報じ、The Wall Street Journalは「オバマがイラクへの長期的関与を示唆」との見出しを打ちました。空爆が続く中、アメリカに背中を押される形で、イラクのマスーム大統領が11日、アバディ連邦議会副議長を指名しました。続投を目指すマリキ首相が反発していて、イラク政局が一層混迷する事態になっています。また、アメリカの軍事介入で過激派のリーダーが対抗心を一段と高めているとも伝えられています。長期戦は必至な状況です。
 
 
[August 11, 2014]  No 0105593

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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