2分でわかるアメリカ

2014/07/26「お金持ちの掟45」撃墜事件とロシアの富豪

「プーチン大統領が孤立する中、ロシアのビリオネアが怯えている」と題する記事をBloombergが配信しました。記事は、The Boston Globeをはじめ複数の欧米メディアに掲載されました。マレーシア航空17便撃墜事件に関し、親ロシア派に武器を供与した、事件現場の調査を妨害したとする国際社会の非難がプーチン大統領に集中、主要国による追加的な経済的制裁を受ける可能性が高く、怯えているという内容です。


記事を読むと、ロシアのビリオネアや富豪が大きく影響を受ける、との印象を受けますが、実際はどうか。家族ぐるみで親しくしているロシアの友人は、恒例のイタリア・トスカーナ地方で豪華な夏休みを続けていますし、他の富豪もいつもと変わらないと聞きました。


アメリカなどによる経済制裁は、ロシアのプーチン政権と周辺にいるビリオネアを対象にしたもの。石油王のゲナディ・ティムチェンコや銀行王のユーリー・コバルチャクら数人のビリオネアです。 ただ、ソビエト崩壊から20年以上が経過し、政府の資産で儲けた富豪の他に、ロシアには政府とは関係ないビジネスで資産を築いたマルチミリオネアが多数出現しました。制裁により貿易などに影響は出ている可能性が高いと思いますが、スイスなど海外の資産は影響を受けていません。


ロシアの中央銀行のデータによりますと、去年1年で627億ドル(約6兆2700億円)の資金がロシアから海外へ流出しました。ウクライナ情勢を巡りロシアが孤立する中、プーチン大統領は愛国主義をあおぎ、海外へ資産を流出しないよう動きました。しかし、プーチン大統領の呼びかけにも関わらず、今年上半期だけで750億ドル(約7兆5000億円)が流出しました。


CNBCは、ロシアから流出した富豪の資金の一部がアメリカにも流れていて、ニューヨーク・マンハッタンのペントハウスやフロリダ・マイアミの豪邸が売れていると伝えました。ロシアの富豪を顧客に持つニューヨークの弁護士は「無名のロシア人富豪が大勢いて、かなり前からビジネスや資産を海外へ分散している」とCNBCにコメントしています。この弁護士は、マレーシア機撃墜事故で追加制裁があってもロシアの富豪による投資に変化はないとも言っています。
 
 [July 25, 2014]  No 0105583

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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