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2014/07/24ポンド相場とスコットランド

フランスの大手銀行クレディ・アグルコールのトレーディング・ルームでは、ミーティングが毎朝開かれます。取引の材料や投資戦略の意見交換をするもので、どのトレーディング・ルームでも見られる光景です。21日今週月曜日のミーティングの中で1人のトレーダーが「スコットランドの住民投票をどう思う」と同僚のトレーダーに質問したそうです。「スコットランドの投票が話題に出たのははじめて」とクレディ・アグルコールのストラテジストがロイターに語りました。

スコットランドが英国からの分離独立を問う住民投票が9月18日に実施されます。残り2ヶ月を切り話題に上るようになり、ポンド相場にも影響し始めました。予想外な結果になった場合に備えヘッジするための動きが絡み、ポンドの対ドル相場などのボラティリティが高まっています。

英国、一般にはイギリス、英語ではUKと呼ばれる国の正式名称は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国です。スコットランド、イングランド、ウェールズ、そして北アイルランドの4つの地域から構成されます。ちなみに、サッカーのワールドカップのブラジル大会に参加したのは英国代表ではなく、イングランド代表です。1922年にいまの英国の原形ができましたが、それより200年以上前の1707年に、スコットランドはイングランドに統合され、ウェールズを加えた3地域でグレートブリテンが誕生しました。

重商主義で知られるアダム・スミスを生んだスコットランド。ただ、経済規模は英国全体のGDPの7.7%しかありません。人口はイングランドの10分の1の522万人、労働生産性は他の地域と比べ11%低い水準に留まっています。北海油田が有名ですが、原油が枯渇しつつあります。中央政府から多くの給付金を得ています。そんなスコットランドですが、議会多数派のスコットランド国民党(SNP)は「自分たちの税金の使い道は自分たちで決める」と分離独立を求めています。

独立した場合に通貨はどうなるか。ポンドを継続使用するのか、ユーロを採用するのか、それとも独自の通貨を導入するのか。話題はつきません。スコットランドの中心都市エジンバラには多くのファンドが拠点を構えています。さらに枯渇しつつあるとはいえ、北海油田の行方も気になります。

最新の世論調査では、独立反対が約50%、独立支持が3分の1。「独立しない」が優勢です。しかし、住民投票まで2ヶ月を切ったいま、外国為替マーケットの一部では「独立するリスクがある」との見方が浮上しています。利上げ観測から一方向で上昇していたポンド相場の変化に注目したいところです。
 
 
 [July 23, 2014]  No 0105581

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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