2分でわかるアメリカ

2014/07/22サブプライム・ローンの復活

世界的な金融危機のきっかけとなったサブプライム・ローンが復活。住宅ではなく、今度は中古車の話です。

週末のThe New York Timesは「中古車向け超高利サブプライム・ローンがバブルの状態」と題する長編の調査報道記事を掲載しました。返済能力が低く、本来なら審査で通らない消費者がローンを簡単に得て中古車を買うブームが起きているとしています。ローンが払えず、個人破産を申請した消費者の例を具体的にいくつも紹介しています。

アメリカでは、ローンを出すかどうかの判断基準として個人の過去の支払い履歴を数値化したクレジットスコアが使われます。具体的には640以上ある個人は優良顧客とされ、最優遇金利でのローン(プライムローン)が提供されます。しかし、640に届かない人は焦げ付くリスクが高いと判断され、金利が大幅にあがります。これをサププライム・ローンといいます。

金融危機を招いた住宅のサブプライム・ローンを巡っては、金融機関から金融機関へと転売され、証券化されました。他の金融商品と組み合わされ複雑化した結果として投資家にリスクが見えにくくなっていました。ブームとなっている中古車のサブプライム・ローンも同様の動きが確認できます。The New York Timesは、金融危機から6年を経てウォール街が再び非常にリスクが高い投資をしていると分析しました。スタンダード&プアーズなども金融機関が高リスクの自動車ローンを大量に提供していると警鐘を鳴らしています。

ただ、中古車のサブプライム・ローンは、住宅と違う点があります。住宅のサブプライム・ローンは、支払いが焦げ付いた場合に住宅が差し押さえられますが、その後の法的手続きが何年にも及びます。さらに、ノンリコースといって、ローンを借りていた人の多くは、住宅を引き渡した時点で債務が消えます。一方、中古車のローンは、法的手続きは短期間で終わるケースがほとんど。個人にはクルマを売った額とローン額の差額が債務として残ります。技術の進歩で、離れた場所からクルマのエンジンがかからないようにすることも可能になっています。

今年の第1四半期(1-3月)の中古車のサブプライム・ローンの総額は1456億ドル(約14兆5600億円)と、前年同期比で15%増えました。5年前と比べ130%高い水準です。

週末のテレビのローカル枠は、新車や中古車のディーラーのコマーシャルであふれています。過去に例がないほど多いと感じます。年初から新車販売台数は記録的なペースで増えています。新車が売れると、下取りした中古車が市場に流れます。なんとなく、金融危機前の住宅市場の状況と類似しています。
 
 
 [July 21, 2014]  No 0105579







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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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