2分でわかるアメリカ

2014/07/18ソニーが取り残される?

メディア王ルパート・マードックが率いる21世紀フォックスが、タイム・ワーナーを800億ドル(約8兆円)で買収する提案をしていたことが明らかになりました。タイムワーナーは提案を断りました。ただ、マードック氏は買収に高い関心を持っているとされ、新たな提案をする可能性があります。

21世紀フォックスは、映画会社に加え、地上波のフォックス、FXやフォックス・ニュースなどのケーブルチャンネルを持っています。タイム・ワーナーは、映画会社ワーナー・ブラザーズの他、ターナーや有料チャンネルのHBOを持っています。買収が実現すれば、映画会社、地上波、ケーブルチャンネルを傘下に持つ巨大メディアが誕生することになります。

アメリカには、フォックスとワーナー以外に、3つの映画会社とテレビ網を持つ巨大勢力があります。ABCやケーブル・チャンネル、映画部門を持つウォルト・ディズニー、NBCとユニバーサル映画を持つケーブル最大手コムキャスト、そして、CBCとパラマウントのグループです。買収が繰り返され再編が進みました。映画を製作し興行で稼ぎ、その後に傘下のテレビ網で放送するという仕組みが出来ています。

準大手の映画スタジオのライオン・ゲーツもヒット作を連発するサミットと合併、先に買収したデブマー・マーキュリーというテレビのシンディケーション配給会社を使ってテレビ部門を拡大しています。日本で放送されたMAD MENはライオン・ゲーツが制作しています。

再編が進むアメリカのメディア界で、蚊帳の外にいるのがソニー・ピクチャーズです。ベータ対VHS戦争に負けた反省から買収したコロンビア・ピクチャーズが母体ですが、親会社ソニーのエレクトロニクスの不振が重く、買収やテレビ網の設立に動けないでいます。海外でケーブル網を持っていますが規模が小さく、アメリカでは完全に孤立しています。「動けないソニー・ピクチャーズが可哀想だ」との声も良く聞きます。

ソニーのエンターテインメント部門を分離して上場させるという提案をかつてヘッジファンドがしました。21世紀フォックスのタイム・ワーナー買収提案のニュースに接し、考え方、方向は間違っていないのではないかとさえ思えます。アップルとGoogle・サムスンの2大エコシステムが確立されたいま、たとえソニーが高性能の携帯端末を出してもエレクトロニクス部門の復活は難しいとみられます。ソニー・ピクチャーズをどうするかが、ソニー全体の将来を決めるかもしれません。ソニーはアメリカで成功し「世界のソニー」になりましたが、いまは日本国内しかみていないように思えます。
 
 
 [July 17, 2014]  No 0105577







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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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