2分でわかるアメリカ

2014/07/03大量リコールと消費者心理

「どこまでやるのか」こんな会話が世界の自動車業界で広がっていると想像します。GMのリコールが止まらないからです。

GMは30日、今週月曜日に新たに845万台をリコール(回収・無償修理)すると発表しました。2週間前には345万台のリコールを発表したばかり。GMが今年2月以降にリコールした台数は合計2900万台に達しました。GMが世界で販売した約970万台の3倍、また北米で2005年から2013年までに販売された全てのGM車の台数と一致する規模です。アメリカで全自動車メーカーが去年一年にリコールした合計は2200万台ですので、GM1社だけで、しかも6ヶ月間で超えたことになります。明らかに異常な事態です。

GMは欠陥を10年以上放置していたとされています。一部の乗用車の点火スイッチの欠陥でエンジンが止まったり、エアバッグが作動しない事故が多発しました。少なくとも13人が死亡、深刻な衝突事故が54件ありました。今年はじめに就任したメアリー・バーラCEOが品質管理を全面的に見直し、大量リコールに発展しました。

リコールは通常、市場からの苦情や報告を精査した結果として実施されます。しかし、2011-12年のトヨタの大量リコール問題が巨額の罰金に発展したことがきっかけで、業界全体の方針が変わりました。不具合の報告があると、直にリコールするようになりました。運輸当局が判断をメーカーに任せるとしたにもかかわらず、タカタ製のエアバッグを採用していた日本やドイツの自動車メーカーが大量リコールに踏み切ったのは、こうした背景があります。「転ばぬ先の杖」と言えます。

膨張するリコールはGMに多額のコストとなりますし、過去の事故で犠牲になった遺族らに2万ドル(約200万円)から数百万ドル(約数億円)の賠償金を支払う方針を明らかにしています。多額のコストがGMの財務を圧迫することは間違いありません。

ただ、販売には影響が出ていません。6月の新車販売台数は予想外に前月比で増加しました。リコールが続けば、GMブランドが傷つくとの見方もありますが、アメリカの消費者は古いGM車をGMの新車に買い替えています。「リコールばかりで心配」と考えるのではなく、「リコールされたから安全」と消費者は受け止めているようです。業界関係者は「GMのリコールはまだまだ続くだろう」と話しています。
 
 
[July 02, 2014]  No 0105566

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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