2分でわかるアメリカ

2014/06/25スキャンダラスなCEO

「うちのCEOは悪名高い」と知人から聞いたことがあります。ロサンゼルスのダウンタウンに本社があるアメリカンアパレルに勤めていた友人は、ダヴ・チャーニーCEO(当時)が会社保有のアパートに若い女性を連れこんだり、社内を下着で歩いたり、社員に恥ずかしい行為を強要していると話していました。そのチャーニー氏が先週、取締役会から解任されました。

カナダ生まれのダウ・チャーニー氏は、サウスカロライナでアパレルを学んだ後、1997年にTシャツの卸メーカーとしてロサンゼルスにアメリカンアパレルを設立しました。2003年に小売りに進出、シンプルなデザインと良質な素材、そしてメイド・イン・USAであることが受けて大ヒットしました。「アメリカのカジュアル・ファッションを変えた革命児」と賞賛されました。

しかし、チャーニー氏の異常な行為が表面化するまでに時間はかかりませんでした。2004年、雑誌のインタビューの最中に女性記者の目の前でチャーニー氏は自慰行為をして大スキャンダルに発展。翌2005年、元女性社員の前で自分の性器を露出、女性に自慰行為をするよう迫ります。女性はセクシャル・ハラスメントでチャーニー氏を訴えました。2007年の上場後もスキャンダルは続きます。2008年と2011年にもセクシャル・ハラスメントで訴えられました。

そして今年3月。2011年にチャーニー氏を訴えた女性が数々の性的行為を公表する計画があることが明らかになり、取締役会が重い腰をあげました。解任の直接的な理由は、チャーニー氏が会社のお金や施設を私的に使ったことでしたが、過去の異常な行動が背景にあることは間違いありません。

アメリカンアパレルは最近、乳頭や陰毛が透けて見えるマネキンを展示したことで話題を集めました。今度は、解任劇をきっかけに主要メディアが一斉に報道、一連のハレンチ行為が幅広く知られるようになりました。

アメリカンアパレルは業績が悪化。株価は過去5年で80%下落しました。ファンド会社が多額の融資をしていますが、高い金利がついています。発行株式の27%を保有するチャーニー氏は、解任の撤回を求めて会社を相手に訴訟を起こす構えをみせています。お騒がせがしばらく続きそうです。
 
 
 [June 24, 2014]  No 0105560

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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