2分でわかるアメリカ

2014/06/21「お金持ちの掟39」儲かったら還元

親しくしているロシア人の富豪は、ロシア正教会に多額の寄付をしています。税制上の優遇があるわけではないのですが、信仰心に厚く、毎年寄付をしています。ただ、ロシア人の富豪で寄付をする人は稀です。

対照的に、アメリカ人のお金持ちは多額の寄付をします。「税制上の優遇措置があるから寄付をする」と良く言われますし、個人的にそう思っていました。ところが、公認会計士に質問したところ、「収入の10%程度を控除できる仕組みだが、収入の多い人には制限があり、事実上ほとんど節税できない」という意外な答えが返ってきました。ちなみに、所得申告で控除が認められるのはアメリカで登録された団体への寄付のみです。つまり、日本の東日本大震災の被災地への寄付などは控除できません。いずれにせよ、寄付での節税は限定的です。

それでもアメリカ人は寄付をする。実際にどれくらい寄付をするのか。Giving USA基金とインディアナ大学リリー・ファミリー・スクールの年次報告によりますと、アメリカの個人、企業、そして団体は去年1年間で合計3351億ドル(約33兆5100億円)の寄付をしました。前年比で4.4%増え、金融危機前の水準を上回りました。

3351億ドルのうち、個人は2406億ドルと7割強を占めました。寄付先で最も多かったのは宗教団体。教会などへの寄付で全体の31%を占めました。教育機関が16%で続きます。地方政府の予算不足で学校への補助金が大幅に削減されていますが、寄付がそれを補っています。娘の学校では、父兄のほぼ100%が少なくとも800ドル(約8万円)の寄付をしています。当然、多額の寄付をするお金持ちの父兄も少なくありません。

過去40年の寄付金の額をグラフでみると、景気後退期に一時的にへこんだ例外もありますが、右肩上がりで増え続けています。最近では、ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏をはじめ、巨額の寄付をする富豪も目立ちます。なぜ多額の寄付をするのか。税制上の優遇措置がないのに。会計士は「クリスチャンだから」と言う答えでした。小金持ちのアメリカ人に聞いてみても同じ答えでした。
 
[June 20, 2014]  No 010555

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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