2分でわかるアメリカ

2014/06/20IRSのメール紛失の真相は

ニューヨークにあるソニー・コーポレーション・オブ・アメリカに勤務していた際、社内弁護士から頻繁にメールを受け取りました。「○○から訴えられたので、関連する全てのメールを消去しないように」という連絡です。

アメリカでの事業には訴訟がつきものです。最近の裁判では、メールでのやりとりのコピーを全て提出するよう求められます。事実を解明するためです。ビジネスに関するメールの保管は、基本中の基本です。

政府関係も同様。訴訟などでメールの開示が求められます。このメール開示を巡って、アメリカではいま、大きな騒ぎになっています。

話題の中心は、日本の国税庁に相当するIRSです。ティーパーティという団体が税制上の優遇を受けるため政治団体として申請する書類を提出したのですが、IRSは必要以上に時間をかけて審査しました。正確にはそうした疑いがかけられています。民主党のオバマ政権の支配下にあるIRSが、共和党を支持するティーパーティに嫌がらせをしたとみられています。共和党が調査に乗り出し、IRSにメールのコピーの提出を求めたのですが、IRSは「すべてのメールを紛失した」と答えました。

具体的には、責任者だったIRSの幹部ロイス・ラーナー氏の2009年1月から2011年4月までの2万4000通ものメールを紛失したとIRSが答えています。担当した他の6人の職員のメールも消えたとしています。

「あり得ない」「ハリウッド映画の方がよっぽど現実的だ」と共和党は怒っています。メディアの一部は「サーバーに残っているはず」「IRSの主張は信用できない」などと伝えています。IRSは6ヶ月ごとにサーバーが更新され、古いメールが消去される仕組みになっているほか、2011年半ばのシステム障害で過去のメールが消えたと説明していますが、疑惑は広がるばかりです。

いまの時代、裁判では、メールのほか、SNSやソーシャルメディアでのやりとりも調停や裁判の証拠として採用されます。ビジネスの世界では、メールの利用や消去に細心の注意が必要だということをあらためて考えさせられました。個人的には、IRSのメール紛失の真相が気になります。
 
 
 [June 19, 2014]  No 0105557

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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