2分でわかるアメリカ

2014/06/18ヒラリーに影響を与えた意外なもの

「お経を読んで影響を受けた」と安倍首相が発言したら。マスコミは大騒ぎするでしょうし、「政教分離がなっていない」との批判が続出するかもしれません。

アメリカだと状況は異なります。2年後、2016年の大統領選挙の有力候補とされるヒラリー・クリントン前国務長官は、10日に発売した回顧録「Hard Choices(困難な選択)」の出版イベントで全米を回っているのですが、これに関連したニューヨーク・タイムズの日曜版のインタビューが話題になっています。

ヒラリー氏は、最も影響を受けた本は「聖書」だと明言しました。「聖書は、自分の考え方に最も影響を与えた。子供の頃から聖書を読んで育ち、覚えるまで読み込み、進む道を教えられた。いまでも、英知、やすらぎ、勇気の源泉になっている。」とヒラリー氏は語りました。

考えてみれば、日本人は無宗教が多い。神棚の前で結婚式をあげたあとに教会に行く、葬式は仏教、死生観は儒教の影響を受けるなど、多くの宗教がライフスタイルに入り込んでいます。一方で、「自分は無宗教」と答える人がどの調査でも80%近くいます。世界的にも極めて稀な国民。

人種のルツボであるアメリカには、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教など、あらゆる宗教を信じる人が混在しています。ただ、社会全体ではキリスト教が基盤になっています。ドル札やコインには「In God we trust(われわれは神を信じる)」と書かれていますし、歴代の大統領の宣誓式では、一部の例外を除き、聖書の上に手を置いて、新大統領が宣誓します。過去の大統領はいずれもクリスチャン。アメリカは「政教分離」が原則ですが、日本などと比べ厳格ではなく、「ゆるやかな分離」と言えます。キリスト教が、政治に一定の影響を与えています。

ヒラリー氏の「聖書」発言は話題になりますが、スキャンダルにはなりません。アメリカ政治とキリスト教の関係、もしくは政治と宗教の関係は、 政治学の永遠のテーマだと思います。
 
 
 [June 17, 2014]  No 0105555

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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