2分でわかるアメリカ

2014/06/13「売春」がGDP押し上げる?

「売春婦が多い国はGDPが大幅に上がる可能性がある」。こんな話題が最近、欧米のエコノミストの間で話題になっています。

どういうことかといいますと、EU本部の統計部門であるユーロスタットが、今年9月に加盟国のGDPの算出法を統一します。これを控え、イギリス、アイルランド、イタリアが最近、売春や麻薬取引をはじめとする「地下経済」をGDPに加算することを決めました。売春が合法なオランダが既に統計に加えていることに合わせた措置です。

EU統合が進み、域内からの「出稼ぎ売春」が増えたとみられるイギリスでは、売春が90億ドル(約9000億円)を生み出していると推定されています。麻薬取引の推定74億ドル(約7400億円)と合わせ、今年後半のGDP算出に加えられる見通しです。これによりイギリスのGDPが3〜4%増えると予想されています。

イタリアには、約6万人の女性が売春で生活しているとみられています。警察の犯罪データなどから算出されたものです。

域内で最大経済のドイツは、まだGDPの算出法を変更することを決めていません。ドイツでは2002年に「売春法」が導入されたこともあり、40万人とされる売春婦の数はかなり正確だとみられます。合法となったドイツの売春は、年に200億ドル(約2兆円)を生み出す大きな産業。算出法を変えた場合、ドイツのGDPが2〜3%増えると予想されています。

一方、北欧のスウェーデンとフィンランドは国の規模が小さいこともあり、算出法の変更でGDPが4〜5%も増えるとみられています。ただ、これは、地下経済ではなく、年金や保険の算出法を調整したテクニカル的なものです。

多くの加盟国が債務危機を経験したEUでは、債務の上限をGDPの3%に抑えるルールがあります。GDP算出法の変更で、予算の編成に苦慮するイタリアやアイルランドなどに恩恵がありそうです。

ちなみにアメリカは、売春や麻薬取引を加えるとGDPが3%近く増えると試算されています。ただ、算出法を変更する計画は当面無いようです。日本はどうでしょう。いつも参考にするアメリカ次第かもしれません。


[June 12, 2014]  No 0105552

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.01.23 更新生活水準下げました我が家では、去年の第4四半期(10-12月)から生活水準を大幅に下げました。食費を切り詰め、無駄な買い物をしなくなりました。今年はクルマのダウングレードを考えて…
  • 2019.01.19 更新NY連銀総裁の警告不法移民を減らし、麻薬取引や人身売買などの犯罪を撲滅するためメキシコとの国境にスティール製の壁を建設するとのトランプ大統領の公約。国境警備の強化には賛成するもの…
  • 2019.01.18 更新ウォール街、株強気派増える17日のニューヨーク株式マーケットでは、モルガンスタンレーの決算が予想を下回ったことなどが影響し売りが先行しました。ただ、下げ幅は限定的。後半の取引で上昇に転じ…
  • 2019.01.17 更新メイ首相続投、5つのシナリオメイ首相が提示したEU離脱協定案の賛否を問うイギリス議会下院の投票が15日夜実施され、反対多数で否決されました。メイ首相が率いる与党・保守党からはEU離脱派と残…
  • 2019.01.16 更新政府閉鎖のネガティブ効果メキシコ国境の壁建設の予算をめぐるトランプ大統領と民主党の対立が続いています。解決に向かう兆候はまったくみられません。9つの省庁の予算が切れ、政府機関の約25%…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ