2分でわかるアメリカ

2014/06/11シリコンバレーで最もホットな会社

Uber Technologiesという会社をご存知ですか。2009年にトラヴィス・カラニック氏がサンフランシスコで設立したベンチャー会社です。Uber(ウーバーと発音)は、クルマを必要なときに呼び出し、タクシーより割安な料金でサービスを提供しています。「よく使っている」という知人のすすめで、iPhoneにアプリはいれたものの、まだ使ったことがありません。

アプリにピックアップして欲しい場所と行き先を入力すると待機中のクルマに連絡が行き、待ち時間と料金が表示されます。サンタモニカの自宅で試しに入力してみると、ほとんどが5分以内、黒塗りのハイヤーの料金がタクシーより安い価格で表示されます。UberXという安価なクルマを選択することもできます。登録してあるクレジット・カードに課金され、面倒なチップは必要ありません。確かに便利そう。しかも経済的。

Uberのサービスは急速に拡大しました。ロサンゼルスなどの都市で多くの企業が使い始め、現在は37カ国の128の都市でサービスを展開しています。既存のタクシーやハイヤーのビジネスモデルを根本から崩すもので、当然ながら反発も少なくありません。ニューヨークやワシントンなど11の都市で訴訟が起こされました。タクシーと比べ保険が不備との批判もあります。ただ、利用者は増える一方。勢いは止まりません。

「しょせんはアプリ」と思うかもしれませんが、驚くのは投資家がつけたUberの会社の値段です。先週末にフィデリティ・インベストメンツが12億ドル(約1200億円)を投資しましたが、その際のUberの時価総額は182億ドル(約1兆8200億円)で計算されました。

182億ドルという値段がどれほど凄いかは、大手上場会社の時価総額と比較するとわかります。世界で幅広く展開するレンタカー最大手のHertzより50%以上高く、ダウ採用銘柄のアルコアよりも高い。日本のソニーの時価総額をも上回っています。

Uberの時価総額は、去年1年で4倍に膨らみました。社員はわずか200人ですが、倍々ゲームで売り上げを伸ばしています。The Wall Street Journalが有力な未上場のベンチャー企業を集めた「ビリオン・ダラー・スタートアップ・クラブ」をリストアップしていますが、Uberはその中で最も時価総額が高い会社になりました。フェイスブック以来の時価総額です。

「バブルではないのか」との見方もあります。しかし、ライフスタイルを変えるビジネスモデルと成長余地が大きいことから、ウォール街の投資家は「決して高くない」とみています。UCLAを卒業後に2つのP2P会社の設立に関わったカラニック氏はいま「シリコンバレー王」と呼ばれているそうです。「凄い」の一言です。
 
 
 [June 10, 2014] No 0105550

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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