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2014/06/04アップルの囲い込み

2001年4月にソニーの本社に入社した際、グループ全体が一つの方向を目指していました。出井伸之CEO(当時)が全てのソニー商品が繋がる戦略を打ち出しました。テレビ、携帯電話、VAIO、ウォークマン、プレステがインターネットを経由してシームレスに繋がるという、一歩進んだヴィジョン。2005年に出井氏からバトンタッチしたハワード・ストリンガー会長(当時)は、戦略を実行できないまま7年後に退任しました。

ソニーを退職しアップル製品を使いはじめ、出井氏の戦略がそこにあることがわかりました。iMac、MacBook、iPhone、そしてiPadがネットを経由して一つのエコシステムを作っています。写真や音楽、ブックマーク、メモまであらゆるファイルがシームレスに共有されています。

アップルは、2日にサンフランシスコで開いた開発者用のイベントで、iPhoneとiPad向けのiOSとマック用の新OS「ヨセミテ」を今年秋に全面刷新すると発表しました。ヨセミテはiOSとの連携が強化されます。iPhoneで途中まで書いたメールをマックで仕上げる、マックのマイクとスピーカーを使って電話を送受信できる機能が加わります。「ヘルス」も導入、生活全体に入り込みます。イベントでは新製品が発表されなかったとの一部失望もありますが、アップルの強みである独自OSが進化したことを印象づけました。アップルを一度でも使った人は、決して他社製品を使えない「囲い込み」と言えます。

アップルに対抗するGoogleは、サムスンと戦略的に提携し、独自のエコシステムを作り上げています。サムスンのギャラクシー、スマートウォッチ、テレビなどがシームレスで繋がります。OS、ソフトが弱かったサムスンはGoogleと組むことで「囲い込み」を実現しました。

マイクロソフトも独自のエコシステムを作ろうと動いていますが、アップルとGoogle・サムスン連合に大きく離されています。個人的に、世界のエコシステムは、アップルとグーグル連合の2大巨人が当面はIT、コンピュータ業界で圧倒的な存在であり続けると想像します。

出井氏のヴィジョンにもかかわらず、エコシステムを作れなかったソニー。エレクトロニクス部門は、ライフスタイルを変える飛び抜けた製品を投入しない限り苦戦が続くと予想します。パナソニックやシャープなど他の日本の家電メーカーも同様です。それほど、アップルがかけ離れた存在になっていると、今回のイベントの記事を読みながら思いました。
 
 
 [June 03, 2014] No 0105545

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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