2分でわかるアメリカ

2014/06/03急成長の歪み

ロサンゼルスに戻りました。過去10日間で、デルタ航空を2回、エミレーツ航空を4回利用しました。アメリカの航空会社とドバイの航空会社の違いを体験し、いろいろ考えさせられました。

1985年にドバイ首長国の国営として設立されたエミレーツ航空は、最も成長が著しい航空会社です。去年1年で約4500万人が利用。ドバイ万博が開かれる2020年までには7000万人まで拡大する見通しです。アフリカやアジアへのハブとして積極的に路線を増やしていて、7000万人は3年後の2017年にも達成する可能性があります。

急成長を支えているのが、ドバイ国際空港です。今年第1四半期(1-3月期)の利用者はアメリカ・シカゴのオヘア空港、ドイツのフランクフルト空港、そしてイギリスのヒースロー空港を抜いて世界最大でした。ドバイ国際空港は年間に1億人が利用できるまでに拡張する計画ですが、施設拡張は限界に近づきつつあります。

拡張の限界は利用してみると実感します。エミレーツ専用の第3ターミナルは広すぎて、移動に時間がかかります。最も遠いCゲートからバスで20分近く移動する経験もしました。自動化された入国手続きも機能しないことが少なくないようです。とにかく不便です。

ドバイ国際空港が限界に近づきつつある中で、ドバイでは第2空港としてドバイ・ワールド・セントラルの建設が計画されています。年に1億6000万人が利用できる巨大空港になる見込みです。

第2空港が完成するとエミレーツ航空はさらに拡大を続けるとみられます。ただ、エミレーツ航空は利用してみると、ソフトが急成長に追いついていないことを感じます。例えば、コンピュータ・システムがうまく機能しておらず、メールでの連絡とウェブサイトの内容がずっとバラバラで不安でした。ビジネスクラスの利用者は、3日前にドバイ入りした便のボーディング・パスの提出を求められました。「無い」というと別カウンターで再発行しないと羽田行きに乗せられないと脅されました。再発行の手数料として日本円で約2400円も徴収されました。苦情をいうと、担当者はクレームセンターに連絡してくれと逃げました。こうした経験を何度もしましたし、目撃しました。

エミレーツ航空と比べ、デルタ航空はビジネス・ライクに徹しています。ウェブサイトとスマホ用のアプリが完璧にリンク、機能しています。問題があると担当者がその場で柔軟に対応します。食事はお世辞にも美味しいとはいえませんが、簡単に片付けられるよう工夫されています。デルタは、アメリカ国内に7カ所、海外は成田、アムステルダム、パリの3カ所をハブとしているため、空港拡張の問題はありません。

エミレーツ航空とデルタ航空の違いは、急成長する新興企業と成熟後も成長する先進国の企業の違いがあると思います。国内だけではなく、海外をうまく利用した戦略の違いもあると思います。エミレーツの急成長の歪みとデルタの余裕を経験した10日間でした。
 
 
[June 01, 2014] No 0105544

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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