2分でわかるアメリカ

2014/05/30ドバイ・ショックから5年

ラスベガスとシンガポールを足して2で割り、カジノを引いた都市。ドバイとはそういう感じのところです。アラブ首長国連邦(UAE)第2の首長国であるドバイは、砂漠に出来た人口都市です。建設ブームが再び起こりつつあります。「バブルの再燃」との見方も一部で出ています。

世界のクレーンの半分がドバイに運ばれた、と言われたほど2000年代のドバイは建設ラッシュに湧きました。中東とヨーロッパ、アジア、アフリカを結ぶハブとしての役割、有利な税制を背景に、オイルマネーだけではなく、ロシアマネー、中国マネーなど世界のマネーがドバイに流入しました。7つ星ホテルと呼ばれるパージュ・アル・アラブやアトランティスをはじめドバイの高級ホテルの大半は2007年から2008年に開業しました。今回滞在したインターコンチネンタル・フェスティバルシティも2008年に開業。これほど同じ時期にホテルが一斉に開業するのは極めて特異と言えます。

しかし、2008年以降、ドバイの高級ホテルの開業が止まりました。2007年のパリバ・ショック、翌2008年のリーマン・ショックを経て、欧米のマネーがドバイから一斉に引き上げました。多くの大型プロジェクトがストップし、ドバイ経済が一気に冷え込みました。バブルが崩壊した、いわゆる「ドバイ・ショック」です。2009年のことです。

一時は「再起不能」とされたドバイですが、救ったのはUAE最大の首長国アブダビでした。欧米の金融機関に変わりアブダビがプロジェクトに融資、ストップしていたプロジェクトが再開しました。2020年の万博開催が決まったこともあり、新規の大型プロジェクトが多数計画されています。高知県とほぼ同じ面積のドバイをクルマでまわると、あちこちで建設現場が目につきます。ドバイ・ショック前と比べ、お金を出しているのがアブダビであるため、「バブル崩壊はない」と現地のジェトロは分析しています。

話は少し飛びます。ジェトロ・ドバイ事務所の所長が今月、ドバイ首長のマクトゥーム家の孫娘の結婚式に招待されました。宴会場は男性のみ。所長は、誰が花婿なのか区別できませんでした。花嫁は会場に姿を見せるどころか、名前すら教えてもらえなかったそうです。アラブの世界は、日本人には非常に理解しづらい。そのわかりにくい世界で異彩を放つドバイで、新しいホテルが2020年に向け相次いで開業します。現在の8万室から16万室に増える見通しです。風習は理解できませんが、ドバイの繁栄が続きそうだということだけは、今回の訪問でなんとなく解りました。
 
 
 [May 28, 2014] No 0105542

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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