2分でわかるアメリカ

2014/05/28キプロス・ショックから1年

地中海の東側に浮かぶ小国キプロスに来ています。第2次世界大戦中にイギリスに併合された歴史があり、いまもイギリス連邦の加盟国。1974年以来、南北を分断する「グリーンライン」が敷かれています。分断を象徴するように首都ニコシアは真二つに分かれています。島の北部37%を占める地域は世界でトルコだけが承認する北キプロス・トルコ共和国、残りの63%はギリシャ系住民が暮らす「キプロス共和国」です。2004年にEUに正式加盟。通貨はユーロ、言語はギリシャ語ですが、ブリティッシュ・イングリッシュも幅広く通じます。

この小国で去年3月15日に金融危機が発生しました。いわゆる「キプロス・ショック」です。破たんしたギリシャの国債が急落したことで、ユーロ圏で5番目の破たん国になりました。EUとIMFの支援を受けたのですが、緊縮財政だけではなく、銀行の「ベイルイン」という方式が導入されました。債券の保有者や預金保険対象外の大口の預金者に損出を負担させるもの。10万ユーロ(約1400万円)を超す預金には9.9%課税されました。20万ユーロ(約2800万円)預けていると、金利がつくどころか、9900ユーロ(約138万円)税金が取られるという強烈なものです。

危機から1年3ヶ月。キプロス経済はほとんどのエコノミストが予想したより回復力があることがわかりました。去年のGDPは5.4%のマイナスとなりましたが、EU、ECB、IMFの「トロイカ」が予想したマイナス8.7%ほど落ち込みませんでした。失業率は17%と高いのですが、危機前の15%程度と比べると悪化度は限定的です。危機を招いた金融サービス以外に、観光と企業サービスが支えました。

ただ、第2の都市リマソール市内を歩くとシャッターが降りた店舗が多く、銀行はひっそりしていました。初めて来たので比較しようがないのですが、空港や高速道路、レストランがガラガラなのが気になりました。ホテルの従業員は、回復しているものの、「現金の引き出しなど規制が多い」と嘆いています。本格回復には時間がかかりそうです。

複雑な歴史や政治と経済の問題を抱えていますが、キプロスは予想以上に魅力のある国です。温暖な気候や整備されたインフラがあります。日本の外務省のホームページによるとキプロスに在住する日本人が50人いるそうですが、日本の存在感は全くありません。完全なプライバシーを求める日本人の滞在先として悪くないかもしれません。

 
米国時間5月28日は都合によりお休みとし、米国時間29日分より再開します。
 
[May 27, 2014] No 0105541

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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