2分でわかるアメリカ

2014/05/23チョコレート王と汚職

ロシア人の妻が、仕事やプライベートでモスクワに戻るたびに買ってくる物があります。チョコレートです。ロシェンというメーカーのものです。ロシア人の家の中には100%といっていいほどあるのが、ロシェンのチョコレートとキャンディーです。

次の日曜日25日に実施されるウクライナの大統領選で当選が確実視されているのが、お菓子メーカーであるロシェンの創業者であるペトロ・ポロシェンコ氏です。ロシェンを大企業に成長させたポロシェンコ氏は、テレビ局やバスのメーカーも傘下に収めています。推定自己資産額は16億ドル(約1600億円)。いわゆるビリオネアーです。チョコレートで成功したことから「チョコレート王」と呼ばれています。

最新の世論調査では、ポロシェンコ氏の支持率は約55%で圧倒的なトップ。2位はユリア・ティモシェンコ元首相ですが、支持率は30%以下です。ティモシェンコ氏はエネルギー会社で成功しました。支持率3位は銀行家のセルゲイ・ティギプコ氏です。いずれも富豪。お金持ちしか政治家になれず、政治家はよりお金持ちになる、というのがウクライナの短い歴史です。

1991年12月にソビエトが崩壊、ウクライナが独立しました。それからの22年半は、不安定な政権の連続でした。背景には汚職のまん延があり、利権で政治家が私腹を肥やしました。最終的に、いずれの政権も行き詰まりました。一方、経歴から、ポロシェンコ氏も同じ道をたどるのではないか、との懸念や批判が早くも出ています。

ロシアは去年、品質に問題があるとしてロシェンのお菓子の輸入を禁止しました。これを受けポロシェンコ氏はEUに一段と接近したとされています。国家間の安全保障や経済に個人的な思惑が入り混じり、「親EUと親ロシアの対立」は複雑です。

バランスがあり、安定した政権、汚職の無い政権の誕生をウクライナ国民が望んでいます。しかし、「歴史が繰り返される」可能性があると指摘されています。東部の親ロシア派は選挙を妨害する構えです。いずれにせよ、ウクライナ情勢は大きな節目を迎えています。
 
 
[May 22, 2014] No 0105538

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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