2分でわかるアメリカ

2014/05/09「奴隷の海岸」が大変なことに

アメリカ人は世界情勢に疎い。と、個人的に思います。自国が巨大で、世界の中心的な存在であるため、一般のアメリカ人のほとんどは海外情勢に関心がありません。日本とフィリピンが同じ国だと思っている人すらいます。ましてや、遠いアフリカへの関心は薄いです。

ナイジェリア、と聞いて直にアフリカ大陸のどの位置にあるかイメージできる日本人は少ないと思います。海外と比べ世界情勢に関心が高い日本人ですらそうですから、ましてや、アメリカ人にとっては非常に遠い存在。そのナイジェリア情勢がいま、アメリカネットワークテレビのメイン・ニュースになり、主要紙のトップ記事になっています。

ReutersやAFPなどによりますと、ナイジェリア北東部ボルノ州の村で、武装したイスラム系過激派ボコ・ハラムが少なくとも150人の住民を殺害しました。村の周辺では、12歳から15歳の少女276人が相次いで拉致されています。武装集団は「少女を売る」とするビデオメッセージを公開しています。

事件が頻発している地域では、きのうから世界経済フォーラムが開催されています。世界中の政府首脳らが現地を訪れています。当然ながら「アフリカ経済」が議題ですが、それどころではなくなっています。

特に多数の少女が身売りされるとの情報にアメリカが敏感に反応しました。20人いる女性の上院議員全員がオバマ大統領に書簡を送付。同じ年頃の娘を持つオバマ大統領は直に反応、専門チームを派遣することを決めました。チームは、FBIの捜査官、交渉人、心理カウンセラーらが含まれています。イギリス政府とフランス政府も専門家チームを派遣しました。中国は、人工衛星からの情報を提供して支援することを表明しました。

ナイジェリアは1960年に旧宗主国のイギリスから独立してから不安定な政権が続いています。北側はイスラム教徒、南側はキリスト教徒に国が二分しています。豊富な石油が産出されることもあり、対立、不安定化の背景となっています。

ナイジェリアは、かつて「奴隷海岸」と呼ばれました。不安定な情勢が続いても長らく注目されませんでしたが、アメリカが動いたことで世界の視点が集まっています。The New York Timesは、ナイジェリアのボコ・ハラムは、アルカイダより過激だと伝えています。
 
 
[May 08, 2014] No 0105528

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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