2分でわかるアメリカ

2014/04/29差別問題は永遠のテーマ

「12 years Slave(それでも夜は明ける)」「Last King of Scotland(ラスト・キング・オブ・スコットランド)」「Help(ヘルプ--心がつなぐストーリー)」「Precious(プレシャス)」。いずれもアカデミー賞を受賞した名作映画です。共通しているのは主人公が黒人であること。ここ数年、ハリウッドで黒人の活躍が目立ちます。

アメリカを語る上で人種差別は避けて通れないテーマです。多数派はヨーロッパ系白人。それ以外のヒスパニック系、アフリカ系、アジア系、アラブ系に対する人種差別があります。さらには原住民のインディアンやユダヤ人に対する差別などが幅広くあります。

アメリカ社会が最も神経質になるのがアフリカ系、つまり黒人に対する人種差別です。会社でも、学校でも。社会全体で最も意識されるテーマです。1800年代にイギリスの商人に売られた黒人奴隷に起源をもつアフリカ系に対する差別は、リンカーン大統領時代の南北戦争、ケネディ大統領時代のキング牧師による差別撤廃運動を経て初めての黒人大統領が選ばれた今も、社会に暗い影を落としています。ハリウッドで黒人映画が評価されるのは、映画関係者による問題提起という側面もあるとみられています。

週末にも、黒人への差別問題が大きな議論を呼びました。プロ・バスケットボールのNBAチームのクリッパーズのオーナーで富豪のドナルド・スターリング氏が差別発言した録音がWeb上で公開されたからです。録音の中で白人のスターリング氏は、同席した女性に対し、交友関係がある黒人男性を試合につれてこないよう要求しています。

80歳になる富豪の発言は主要メディアがトップ級で伝えました。テレビのニュース番組では長い時間が割かれました。ロサンゼルスの市長、NBAコミッショナーや有名選手らが「不快で攻撃的な発言」として激しく批判。アジアを歴訪中のオバマ大統領も激しく批判、ソーシャル・メディアには「Racist(人種差別主義者)」だとの投稿が膨れ上がりました。クリッパーズを含めNBAの選手の80%は黒人。スターリング氏は、NBAから永久追放される可能性が高そうです。

差別問題は、イギリスにも、ロシアにも、日本にもあります。ただ、「人種のルツボ」であるアメリカの人種問題は根が深く、スケールが大きく、社会的な影響が最も大きいと思います。人種差別問題は、100年後もアメリカ社会の課題として残るのではないかと予想します。
 
 
 [April 28, 2014] No 0105520

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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