2分でわかるアメリカ

2014/04/24豊かでなくなったアメリカ

「名犬ラッシー」「アイ・ラブ・ルーシー」「奥様は魔女」、いずれも1950年代から1960年代に放送されたアメリカのホームドラマです。ドラマに登場する大きな一軒家にはテレビ、洗濯機、冷蔵庫の三種の神器があり、「ウサギ小屋」の我が家との違いに日本人は愕然としました。

ドラマに登場したのは、アメリカの典型的なミドルクラス(中流家庭)の住宅でした。アメリカのミドルクラスは、日本だけではなく、ヨーロッパのミドルクラスと比べても圧倒的に豊かでした。アメリカでは毎年、世界で最多のビリオネアーやデカミリオネアー(個人資産が10億円を超える人)を生み出していますが、一方で、ミドルクラスの生活が苦しくなっています

The New York Timesの分析では、アメリカのミドルクラスはもはや世界一豊かでありません。他の先進国のミドルクラスの収入が過去30年間で大幅に上昇、多くの国がアメリカを超えたと伝えています。

LSI(ルクセンブルグ・インカム・スタディ・データベース)によりますと、アメリカの4人家族あたりの年収の中間値は、1980年から2010年までの30年間で20%増えました。詳しく見ると、2000年から2010年までの10年間は横ばいでした。一方、同じ統計で、イギリス人の収入は2000年からの10年間で20%増えました。オランダでは14%、カナダでは20%増えました。

社会保障や教育費などの要素を含めると、ヨーロッパのミドルクラスはアメリカ人よりさらに豊かだとThe New York Timesは指摘しています。アメリカの有名大学の授業料は年4万5000ドル(約450万円)もかかり、その他の経費を含めると大学4年間で25万ドル(約2500万円)かかるとされています。子供を持つアメリカ人の親は、よほどのお金持ちを除き、誰もが教育費の工面に頭を痛めます。ヨーロッパの大学の授業料は良心的です。

アメリカは、ヨーロッパや日本と比べ極端な格差社会です。企業の幹部は信じられないくらい高い報酬をとりますが、経験が少ない社員の給料は想像以上に低い傾向があります。富の配分の違いが背景ですが、個人的にはアメリカの方が歪んでいると思います。別の言い方をしますと、アメリカは資産家に優しい社会であり、ミドルクラス以下に厳しい社会です。
 
 
[April 23, 2014] No 0105518

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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