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2014/04/23悲惨!天国とは程遠いカントリーロード

「カントリーロード」という曲をご存知ですね。ジョン・デンバーの曲として1971年に発表され大ヒットしました。世界中のミュージシャンにカバーされ、日本でもキャンディーズ、尾崎紀世彦、小野リサら多くの歌手がカバー曲を歌いました。

「カントリーロード」の歌詞は、「Almost heaven, West Virginia, Blue Ridge Mountain, Shenandoah River(ブルーリッジ山脈とシェナンドー川が一望できるウエスト・バージニアは天国のようだ)」とはじまります。ウエスト・バージニア州の人は自然に囲まれ、さぞかし幸せ、などと誰もが思います。現実、天国とは程遠い状況です。

The New York Timesが週末版に掲載したウエスト・バージニア南部の貧困に関する記事は衝撃的でした。19世紀に炭坑で栄えたマクドウェルという郡を中心に取り上げています。住民の年収の中間値は2万2000ドルと州で最低、収入のほとんどは生活保護です。子供の肥満率と10代の出産率は最悪。生活苦による薬物取り過ぎによる死亡率は全米平均の8倍です。義務教育をドロップアウトする子供が少なくありません。生徒の親の46%は生物学的な親ではありません。親が死亡、もしくは子育てを放棄したケースが多いからです。1950年代に10万人いた人口は2万1300人に減りました。街は荒れ、住民は希望が持てずにいます。

1960年にケネディ大統領が貧困対策を強化、1964年にジョンソン大統領が「貧困との戦争」を宣言しました。社会保障が充実し、アメリカの貧困は確実に減りました。マクドウェルでは、1950年代には人口の50%を占めた貧困層が、1970年代に36%、1980年に23.5%まで減りました。しかし、貧困層は1990年代に38%に増え、現在は約41%の家族が貧困に苦しんでいます。

アメリカ南部のミシシッピ・デルタ地帯やテキサスのヒスパニック・コミュティなど、マクドウェルと同様に貧困層が多い地域がアメリカには何カ所もあります。最新の国勢調査によりますと、アジア系の貧困層は190万人、黒人の貧困層は1090万人、ヒスパニックは1360万人。白人の貧困層は1890万人と意外に多いです。かつては黒人の貧困層が圧倒的に多かったのですが、1990年代以降に白人の貧困層が急速に増えました

The New York Timesは、貧困に対する戦争を宣言してから50年が経ったいま、困難な問題が再燃したと伝えています。ウエスト・バージニア南部のマクドウェルで「カントリーロード」を聞く人はいないと思います。
 
 
 [April 22, 2014] No 0105517


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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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