2分でわかるアメリカ

2014/04/11酷すぎる、儲けすぎのドクター

個人的な意見ですが、アメリカの医療制度は先進国の中で最悪です。世界最先端の技術や有能な医師が多数いるにもかかわらず、ほとんどのアメリカ人は優位性を享受できていません。保険の種類によって患者を選ぶ医師、想像を超える高額請求、処方箋を拒否する保険会社など。例をあげたらキリがありません。制度全体の改善を狙ったオバマケアも混乱を招いています。

アメリカの医療制度の問題がまた一つ浮上しました。メディケアと呼ばれる高齢者向けの公的医療制度を悪用した一部の医師による異常な保険の高額請求が表面化したのです。

今週発表されたメディケア管理機関による調査報告書によりますと、支払われた公的保険の770億ドル(約7兆7000億円)の相当額がごく一部の医師に集中的に支払われていました。

2012年には、100人の医師に合計で6億1000万ドル(約610億円)が支払われていました。フロリダの眼科医には年間2100万ドル(約21億円)も支払われていました。診察した患者数は900人。注射一本に2000ドル(約20万円)も請求していました。

同じくフロリダの循環器専門の医師には1800万ドル(約18億円)が支払われました。また、ニュージャージーの病理医には、検査費として1250万ドル(約12億5000万円)、ミシガンの病理医には1100万ドル(約11億円)が支払われていました。アメリカには88万人の医師がいますが、あまりにも偏っています。特に東海岸の医師への高額支払いが目立ちます。

過度に医師が保険請求するのは当然ながら違法です。調査報告書には、具体的な医師名や金額などが明記されていて、刑事訴訟の対象になることは確実。連邦検察当局はすでに捜査を開始しました。

メディケアの制度がはじまって50年近く経ちます。実態調査をするのが初めてだったということも衝撃を大きくしています。アメリカの医療制度がカナダやイギリス、日本並みになるのは、まだまだ時間がかかりそうです。というより、ならない可能性が高いと思います。民間保険会社のロビー活動が活発で、制度自体も複雑すぎるからです。お金持ちにはやさしく、貧乏人には厳しい仕組みになっています。世界一の超大国の歪んだ実態のひとつです。
 
 
 [April 10, 2014] No 0105509

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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