2分でわかるアメリカ

2014/04/01投資会社が買うのを止めた

ロサンゼルスを含めた南カリフォルニアの不動産相場は、歴史的に6年周期で動いています。大きな流れは上昇しているのですが、6年間上がり続け、その後の6年間は下がるというサイクルが続いています。前回の上昇は2006年にピークをうちました。これは全米全体の住宅バブルのピークとほぼ一致しています。

翌2007年から下落基調がはじまり、2008年の金融危機以降に下げが加速しました。サブプライムローンやリーマン・ブラザーズの破たんなど特殊な要因がありましたが、全体の流れは過去と一致しています。過去のパターン通り、6年後の2013年頃から住宅価格が上昇に転じました。

住宅価格を押し上げたのは、中国人をはじめとする「現金の投資家」とウォール街の投資会社です。低金利ではありますが、住宅ローンの審査が厳しいため、自宅用に買った人は少数派。つまり、実需ではなく投機が相場を押し上げたということです。どんな物件でも、多くのオファーが入りました。カリフォルニアで最も南に位置するサンディエゴでは、去年1年で28%も住宅価格が上がりました。同様の傾向が、ニューヨーク、フロリダ、サンフランシスコなどでもみられます。不動産の投機買いが、景気を支えたという側面もあると思います。

ここにきて少し状況が変わってきました。The Los Angeles Timesによりますと、ロサンゼルス周辺で住宅を大量に買っていたウォール街の投資会社が、今年に入り住宅購入をストップしました。

大手投資会社のブラックストーン・グループの不動産部門は、南カリフォルニアでの住宅購入を前年比で90%カットしました。サンタモニカの投資会社コロニー・キャピタルも住宅をほとんど買わなくなりました。ロサンゼルスのオークツリー・キャピタルは、購入した500軒を超す住宅の売却を検討しているとThe Los Angeles Timesが伝えました。

データ・クイックの調査では、2012年1月以降にカリフォルニアの不動産を買っていたトップ20の会社による住宅購入は、今年に入り70%減りました。差し押さえ物件をまとめ買いしていた会社も買わなくなりました。

投資もしくは投機で住宅を買ったウォール街の投資会社や地元の投資家は、物件を直に売らず、買った資産で資金を調達しています。ブラックストーンは、住宅から得られる家賃を担保に、4億7900万ドル(約479億円)相当の債券を発行しました。他の会社も資金調達を検討しています。

投機買いがなくなったことで、住宅価格は横ばい、一部では少し下がりました。投資会社が大量に買った南カリフォルニアの住宅をいつ売却するのかは不明です。市況をみながら、出来るだけ高く売るのではないかと想像します。過去のパターン通りにいけば、2018年ごろまで住宅価格が上昇しますが、今回は「歴史は繰り返さない」可能性があるかもしれません。ただ、投機ではなく、需給で相場が動くようになることは健全化に向かうということかもしれません。
 
 
 [March 31, 2014] No 0105501

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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