2分でわかるアメリカ

2014/03/26プーチンとどうつきあうか

ロサンゼルスに住むロシア人の妻の友人が日曜日の深夜にオーストラリアに出張する予定でした。しかし、ヴィザ(査証)が発給されず、出張を断念しました。友人はアメリカの大手映画スタジオの社員。オーストラリア領事館で、余裕を持って5週間前にヴィザ申請しましたが、発給されませんでした。


オーストラリアは、アメリカをはじめとするG7と比べ温和な外交で知られています。ロシアのクリミア編入に反発する立場を取っていますが、制裁は限定的なものに留まっています。それでも制裁の一環としてロシア人へのヴィザ発給を遅らせているのか、それとも単なる遅れなのか、真相は不明です。友人と妻を含め、ロシアへの経済制裁が今後幅広く影響するのではないかとの恐怖心が生まれています。


オバマ大統領はオランダのハーグでG7首脳会議を招集、G8からロシアを排除することで合意しました。一方、住民投票で圧倒的な多数でロシア編入が決まったクリミアでは、軍からロシア・パスポートの発行に至るまで、着々と編入作業が進んでいます。影響力があるThe New York Timesは、議論は対ロシアへの制裁からプーチン大統領とどうつきあうかに移ったと伝えました。今の段階で、クリミアをウクライナに戻す外交をするのではなく、現実をどう受け止めて対応するかが重要だということです。


The New York Timesは、過去15年間、ビル・クリントン、ジョージWブッシュ、そしてバラク・オバマの3人のアメリカの大統領が、プーチン・ロシアとの新しい関係をそれぞれ築こうとしたが、その都度、失敗したと分析しました。プーチン大統領を理解できず、友好関係が築けなかったとしています。
アメリカの政治に影響力があるThe Washington Postは、温和で友好的な外交を目指していたオバマ大統領の外交が失敗、冷静時代のライバルに強硬な姿勢をとる外交に変わったと報じました。


ロシア孤立にシフトしたオバマ政権ですが、現実的には、ロシアの協力が不可欠です。例えば、オバマ政権の失策とされるシリアの扱い、アジア外交での中国との関係、さらには、核問題。冷戦時代と比べ状況は複雑で、単純にロシアを攻めることは、オバマ大統領が自分の首を締めることに繋がりかねません。


日本を含めた世界は、オバマ大統領の外交政策に大きく影響されます。アメリカの対ロシア経済制裁は時間が経つにつれ、効果が出ることが予想されます。一方で、プーチン大統領がアメリカに歩み寄る可能性は低いと言えます。ロシアがイランに歩み寄ることも予想されます。また、ロシアは天然ガスや原油を豊富に抱えている他、大量の米国債も保有しています。世界経済は、今後数ヶ月のオバマ大統領のロシア対応に左右されると言っても過言ではなく、極めて重要な局面を迎えていると言えると思います。
 
[March 25, 2014] No 0105497


 

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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