2分でわかるアメリカ

2014/03/22「お金持ちの掟25」ブラックリストの「オゼロ」

ロシア人の友人と来月、半年ぶりに会います。富豪の友人はレストランなどのアレンジをはじめました。楽しみです。

ウクライナ南部のクリミアをロシアが編入したことで、アメリカやEUが対ロシアの経済制裁に踏み切りました。きのう20日には、アメリカ財務省が新たな制裁を発動、ロシア政府関係者だけではなく、民間のロシア人も対象になりました。
http://1.usa.gov/1dfYdRy

ロンドン、パリ、ニューヨークの事情通は「いま一番お金を持っているのはロシア人だ」と言っています。超のつく高級ブティックやミシュランの星がついたレストランは、ロシア人がいないと成り立たたないほど裕福なロシア人であふれています。ロシアの富豪は、なぜそんなにリッチなのか。

ロシア人の富豪は、大きく2つにわかれます。ビジネスで成功した人、もう一つは政府首脳に近い人です。前者は、欧米の富豪と共通しています。後者は、新興国独特のもの。ソビエトが崩壊してまだ23年しかたっていないため、アメリカや西ヨーロッパに多い遺産相続で富豪になった人はロシアにはいません。友人は前者で、起業した会社をニューヨーク証券取引所に上場、富を築きました。純粋なビジネスマン。政治と離れた領域で成功したため、対ロシア制裁の影響はいまも、今後もないと思います。

しかし、ロシア政府に近い富豪は大変です。フォーブス誌の世界富豪ランキングに入っている4人のロシア人に対し、アメリカへの渡航禁止、アメリカ国内の資産凍結、そしてアメリカ企業との取引を禁止するという厳しい制裁が発動されました。4人に共通しているのは、ロシアのプーチン大統領と親しい関係にあるということです。

1996年、ロシア第2の都市であるサンクト・ペテルブルク郊外のゲート付きコミュニティに、モダンな別荘が相次いで建てられました。湖のほとりにあるため、「オゼロ・ダーチャ」と呼ばれています。オゼロはロシア語で湖、ダーチャは別荘のことです。当時、市の幹部だったプーチン氏が別荘を建て、その隣に親しい友人が別荘を相次いで建てました。プーチン氏がモスクワのクレムリンに移った際、友人も全員引っ越しました。友人はやがて政府との密な関係を背景にビジネスを築き、ビリオネアになりました。クレムリンでは「オゼロ」と呼ばれ、最優遇されています。

今回のアメリカの制裁は、プーチン大統領を個人的に狙ったものです。それに追い込まれたらしく、プーチン氏は対抗制裁に慎重な姿勢を示しました。プーチン大統領と「オゼロ」だけではなく、アメリカ最大の都市のニューヨークの高級ホテル、レストラン、ブティックに影響するかもしれません。


[March 21, 2014] No 0105495

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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