2分でわかるアメリカ

2014/03/21大きい現実とのギャップ

ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ南部のクリミア併合を宣言しました。西側の首脳は、プーチン大統領を激しく批判、対ロシアの追加制裁を発動しました。状況をみていた日本の安倍首相も遅れてロシアを批判しました。さらにオバマ大統領はきょう、「ウクライナ問題は最優先事項」として2度目の追加制裁を発動する方針を明らかにしました。

アメリカにいると「プーチンが国土を奪い取った」との印象を強く受けるのですが、当事者のウクライナとロシアの状況は複雑で、内外のギャップが大きいように思います。

1991年にソビエトが崩壊、ウクライナが独立国家となって23年。「不安定な政権下」の23年でした。権力者が国の富を略奪、私腹を肥やしました。ヤヌコビッチ前大統領が失脚したのは「EUよりロシアに近かった」とされていますが、汚職の蔓延に市民が反発した要素も大きいと思います。

親ロシアのヤヌコビッチ氏に変わる形で、親EU派のヤツェニック氏が暫定政府の首相に就任しました。誰もが「EUに急接近する」と思いました。しかし、EUが支援の一環として急いでいるウクライナとの自由貿易協定について、「否定的な影響がある」として慎重な姿勢を見せました。結びつきの強いロシアに配慮した発言です。

ロシアの主要メディアは、クリミア編入を歓迎するトーンで報じています。ただ、ウクライナは仲間、という指摘もあります。一方、ウクライナは東側と西側で割れています。地理的にロシアに近いウクライナ東部では、 クリミアのロシア編入を支持する人が相当数います。全体として、反ロシアというより、「ウクライナの安定」を求める論調が目立ちます。

欧米では、プーチン大統領がウクライナの領土をさらに奪うかもしれないと懸念している人もいます。しかし、ウクライナ国内でも、ロシア国内でも、そう考える人はほとんどいません。旧ソビエトのモルドバのトランスニエスタは2006年、住民投票でロシア編入を承認しました。しかし、国際社会は無視、ロシアも相手にしませんでした。クリミアとは全く異なる動きでした。

「東西冷戦の復活」というより「冷えた関係」が、外交上でも経済の面でも続くことが予想されます。しかし、軍事的な衝突に発展する可能性はきわめて低いとみられています。どちらが正しいかは別として、外交努力で解決してほしいです。

ロシアとウクライナのハーフの妻は、「ウクライナが大国のオモチャにされている」と言っていました。
 
 
 [March 20, 2014] No 0105494

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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