2分でわかるアメリカ

2014/02/26親戚はウクライナ人

ロシアの首都モスクワにあるキエフ駅。毎日、ロシアとウクライナを結ぶ電車が発着します。5年前の夏、妻の家族と一緒に、キエフ駅から夜行列車に乗ってウクライナの首都キエフに行きました。国境を越える際、パスポートの審査がありましたが、拍子抜けするほど簡単に終わりました。乗客はロシア人とウクライナ人が99%で、外国籍は日本のパスポートを持つ筆者と娘だけでした。

妻はポーランドに近いウクライナ南西部のヴィネッツアで生まれました。父はロシア人、母はウクライナ人。モスクワに住んでいたので国籍はロシア。ヴィネッツアに住んでいる妻の従兄弟はウクライナ国籍です。ソビエトが崩壊する1991年までは、国籍はソビエトで同じでした。妻の家族は例外ではなく、ロシア国籍とウクライナ国籍がまたがる家族が相当数います。

反政府デモと治安当局の衝突で100人近くが死亡、ヤヌコビッチ大統領が解任されたことで、ウクライナ情勢は落ち着いたかのように見えます。アメリカや日本などからみると、そう見えます。ウクライナ西部の親EU派、東部の親ロシア派の間で亀裂が深まっていると外国メディアが伝えていますが、実際はモザイクのように分裂、分断しています。西側に住む妻の親戚は、親EU派であり親ロシア派です。ビジネスはEU、親戚はロシアだからです。

流血の事態に発展したウクライナ人同士の衝突はキエフの中心にある独立広場で起きました。10年前の2004年、無血革命を起こした市民がオレンジ色のシャツを着ていたことから「オレンジ革命広場」ともいわれています。オレンジ革命は「民主主義」と「独裁主義」の争いでしたが、今回は「親EU派」と「親ロシア派」の政治的な違い+官僚機構と市民の軋轢が背景。ロシアと同じ国家だったという事情が複雑にからみます。EUとロシアの関係は微妙ですが、戦争をしているわけではないので、外国の対応は想像以上に複雑です。実際、アメリカのオバマ政権はどう対応していいか躊躇しています。

大統領代行に就任したトゥルチノフ最高会議議長による挙国一致内閣の樹立は難航、5月に予定されている大統領選の行方も不透明です。ロシアとEUにサンドイッチのように挟まれたウクライナの状況を我が家は複雑な気持ちで見守っています。それにしても、解任されたヤヌコビッチ大統領の「ガラスの自宅」の豪華さには驚きました。
 
 
 [FEBRUARY 25, 2014] No 0105480

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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