2分でわかるアメリカ

2014/02/20TPPだけじゃない、 TTIPも難航

環太平洋戦略的経済提携協定、いわゆるTPP交渉の閣僚級会合が、22日からシンガポールで開催されます。関税や知的財産など、難航している分野の政治的な決着を目指していますが、鍵はアメリカが握っています。各国に市場開放を迫るアメリカが歩み寄りを示さないかぎり、「最悪のシナリオ」になる可能性が指摘されています。

閣僚会合を前に、甘利TPP相が15日ワシントンを訪問、アメリカ通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談しました。甘利大臣は、「両国の立場の隔たりを狭めることの重要性で合意した」と会談後に日本人記者に話したそうです。つまり、具体的な合意はなかったということです。

アメリカのフロマン代表は翌16日、USTRの同じ部屋でEUの通商問題を担当するカレルデ・グッチ委員と会談しました。環大西洋貿易投資パートナーシップ、いわゆるTTIP(ティーティップと発音)を話し合うためです。日本が絡むTAPはこれまでに30回以上の会合がありましたが、TTIPはまだ3回の会合しか開かれていません。TAPとTTIPは、アメリカにとって1995年のウルグアイ・ラウンド以来の大規模な貿易交渉です。

ただ、アメリカを取り巻く環境は決して良くありません。政治的な障害が大きいからです。オバマ大統領は今年11月の中間選挙を控え、貿易交渉での成果を挙げたい考えですが、議会は一筋縄ではいきません。同じ民主党のハリー・リード上院院内総務が最近、交渉を早く進めるファースト・トラックをオバマ政権に認めない方針を表明しました。

TTIPに関しては、EU側も政治的な障害を抱えています。今年5月に欧州議会選挙を控えているからです。選挙次第では、交渉が合意しても議会で跳ね返されるリスクが残ります。

アメリカ政府は、TPP とTTIPの両方のバランスを取りながら交渉すると予想されますが、議会の抵抗に加え、エネルギー、自動車、農業などのロビー団体からの圧力が強く、簡単に譲歩するとは思えません。日本の報道はTPPしか伝えていませんが、TTIPの交渉の行方にもアンテナを張り、全体をみることが大事かもしれません。
 
 
 [FEBRUARY 19 , 2014] No 0105476

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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