2分でわかるアメリカ

2013/12/20バーナンキ議長の「間」


東京都の猪瀬直樹知事が辞任する意向を都議会議長に伝えました。徳洲会グループから5000万円を受け取った問題で辞意を固めたのは18日、都内の書店ではこの日、猪瀬知事の著書「勝ち抜く力」が売り出されました。アメリカのメディアも皮肉を込めて伝えました。

「間が悪い」と思ったことがもう1つ。ロイタージャパンのサイトで日本時間の19日、「ドル円は90円超えも」というタイトルの記事が配信されました。ちょっと驚いてよく見ると、去年12月21日付けの「2013年相場見通し」でした。間違って配信したものとみられ、しばらくして削除されました。

ロイタージャパンの見通しは、エコノミストやストラテジストに相場観を独自に聞き、総合的に判断して書いたものだと思いますが、いまのレートを考えると「相場を読むのは難しい」とあらためて思いました。同時に、誤配信された日は、円が5年2カ月ぶりに104円台に急落した日だけに、やたら目立つ結果になりました。「間が悪い」と思いました。

円が急落したのは、もちろんFRBが量的緩和の縮小を決めたことが影響したものです。FRBは18日、月間850億ドルの資産買い入れプログラムを750億ドル規模に縮小することを決めました。これを受け、株式相場は急上昇し過去最高値を更新、外国為替市場ではドルが上昇しました。

FRBの緩和縮小は当初、今年9月に実施されるとみられていました。しかし、ウォール街のほとんどの予想に反し、FOMCメンバーは政策変更を見送りました。当時は議会の財政協議が難航していて、翌10月の政府機関の一部閉鎖に繋がりました。当時は、緩和縮小=金融引き締めと考えられていました。仮に9月に緩和縮小が決まっていれば、予想通りであっても株式相場は急落、外国為替相場は今回以上に荒れた展開になったと想像します。

9月に緩和縮小を見送って以降、FRBは、超低金利政策を長期間続けるとのメッセージを繰り返し送りました。これにより、ウォール街では、「緩和縮小は必ずしも金融引き締めではない」「FRBは経済状況に応じ柔軟に対応する」という認識が過去3ヶ月で浸透しました。バーナンキ議長も会見で、低金利の継続を繰り返し強調しました。一方、議会の財政協議も共和党と民主党の事実上の停戦で合意に至り、年明けの政府閉鎖は回避されました。経済指標も9月と比べ持続的な回復を裏付けました。

こうしたことを考えますと、今回の緩和縮小は「機が熟しての判断」でした。株式相場の前日の反応は、FRBの「間の良さ」を好感したものと言えると思います。  

[DECEMBER 19 , 2013] No 0105436

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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