2分でわかるアメリカ

2013/12/03日韓の航空会社は安全か


アメリカ政府は、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド・コンチネンタル航空の民間航空各社に対し、中国政府が設定した防空識別圏を飛行する際、中国側に事前通知することを先週末までに要請しました。アメリカ政府の方針は、中国空軍がスクランブル(緊急発進)をしたと発表した直後に決まったものです。軍用機については、中国政府に従わず飛行計画などを提出しない方針を明確にしています。

アメリカ政府が民間機と軍用機への対応を分けた格好です。背景には12年前の事故があります。2001年4月、中国沿岸沖の空中で、中国の戦闘機とアメリカのスパイ機が衝突しました。中国空軍のパイロットは死亡、アメリカのスパイ機は海南島に緊急着陸し、パイロットが拘束されました。パイロットと破壊した機体は外交交渉でアメリカ側に戻されましたが、アメリカ政府にとって「予期せぬ事故が起こりうる」という強い記憶を残す結果になりました。

 アメリカ政府は3日間議論した結果、予期せぬ事故や対立で民間航空機の乗客に危険を及ぼしかねないとして、民間航空各社に対し中国に従うよう事実上求めました。香港拠点のキャセイ・パシフィックとシンガポール航空も、中国の防空識別圏の設定を受けて、飛行計画を事前に提出する方針を決めています。 

一方、日本政府は、日本の民間航空会社に対し、飛行計画を事前に中国に提出しないよう求めたほか、韓国も同様の対応をとりました。日本航空、全日空、そして大韓航空などは、多くのアジア便が中国の防空識別圏を通過しますが、政府の方針に従い提出を取りやめました。

ニューヨーク・タイムズは、中国に強硬な姿勢をとるナショナリストの安倍首相と強い外交を目指す習近平国家主席の人間的な要素が複雑に絡み、オバマ政権の米中関係を難しくしていると報じています。また、フィナンシャル・タイムズは「安倍首相は臆面もない修正主義者で、日本の歴史から不快な部分を拭い去る危険な癖を持っている」と伝えました。

尖閣諸島に絡む中国の防空識別圏に関する問題を欧米メディアが連日報じています。異例とも言える大きな報道ですが、それだけアメリカ政府が神経質になっている、地政学的リスクが高いとみていることの表れだと思います。アメリカが憂慮する不測の事態が、日本の民間機に起きないことを願うばかりです。

[DECEMBER 02 , 2013] No 0105421

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2018.12.19 更新17案件プラストランプ大統領が今週21日にフロリダに移動、16日間のクリスマスおよび年末年始の休暇に入るそうです。メキシコとの国境に壁を建設する予算で議会と対立、政府機関の一…
  • 2018.12.18 更新サンタクロース・ラリー来ない?クリスマスの前後から1月にかけて株式相場が上昇することを「サンタクロース・ラリー」と言います。クリスマスが近づくにつれ節税のための売りが減少、1月は新規の資金が…
  • 2018.12.15 更新トランプ大統領、任期全うできるか12月9日からの1週間は、トランプ大統領にとって就任以来で最悪の週だった。ワシントンポストのコラムニストが伝えました。確かに、トランプ大統領に打撃となるニュース…
  • 2018.12.14 更新アメリカのガラパゴス日本に帰国する際は非接触型ICカードを使っています。JR東日本のSuicaや首都圏の地下鉄やバスで利用できるPASMO。コンビニや自販機でも使えて便利だと思いま…
  • 2018.12.13 更新FRBの利上げけん制、最後のプッシュアメリカのトランプ大統領が11日、ロイターのインタビューを受けました。ウォール街で話題に。金融情報に強い通信社による単独インタビューのため、慎重に準備したことが…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ