2分でわかるアメリカ

2013/11/12日本は大丈夫?米当局の警告


トランス脂肪酸の使用がアメリカで全面的に禁止される方向です。トランス脂肪酸とは、水素で処理した植物油に含まれるもので、主にクッキーやケーキなどの焼き菓子や電子レンジでつくるポップコーン、冷凍ピザ、コーヒークリーマーなどに幅広く使われています。英語では「TRANS FAT」と言います。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は先週、食品に含まれるトランス脂肪酸は安全ではないとの見解を初めて示しました。トランス脂肪酸は「悪玉コレステロール」として知られる低比重リポタンパク質の数値を引き上げ、動脈を詰まらせたり、心血管系疾患に繋がるとされています。アメリカでは心臓疾患が死因の一位であることもあり、トランス脂肪酸の使用が禁止される方向です。

実は、数十年前まではトランス脂肪酸は摂取が奨励されていました。マーガリンに含まれ、バターなど動物性飽和脂肪に比べ健康的とみられていたのです。しかし、1970年代以降、心臓病との関連を疑う研究者が相次ぎ、最新の研究では関連性が多く確認されています。FDAは、トランス脂肪酸の摂取量を削減すれば、年2万人の心臓発作を3分の1程度に減らせると指摘しています。

アメリカでは、食品の成分表示が世界一厳しく規定されています。虚偽の表示をすると、多額の罰金が課せられるため、例外無くパッケージの裏に「トランス脂肪酸」が何グラム含まれているか表示されています。スーパーで普段買っているものを確認したところ、すべて「ゼロ」でした。ファーストフードやレストラン・チェーンでは、トランス脂肪酸を回避する動きが加速しています。

 「トランス脂肪酸が危ない」というFDAの大胆な警告は、全米の主要メディアが大きく取り上げた影響もあり、正式に禁止される前に市場から消えていくことになると思います。 

日本ではどうか。消費者庁などで研究しているようですが、規制するまでには至っていません。表示規制も緩いため、トランス脂肪酸が含まれているかどうかを知るのは難しそうです。「加工油脂」などと表示されているものも少なくないようです。ホテルやデパート、レストランの虚偽表示が相次いで発覚している日本では、表示が信用できないのが痛いです。

[NOVEMBER 11 , 2013] No 0105406

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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