2分でわかるアメリカ

2013/11/08国際空港のXデー


アジアからロサンゼルスに戻ったのが2日夜。LAXと呼ばれるロサンゼルス国際空港は普段通りでした。しかし、前日の1日は「カオス」と言っていいほどの大混乱でした。

1日午前9時20分ごろ、LAXで乱射事件が発生しました。日本でも大きく報道されたので、ご記憶の方も多いと思います。事件があったのは、9つあるターミナルのうち、ヴァージン・アメリカ航空やアラスカエアなどが発着するターミナル3。隣は、日本航空や全日空が利用するトム・ブラッドレーと呼ばれる国際ターミナルです。

23歳のポール・シアンシア容疑者がマシンガンを乱射、運輸保安局(TSA)の職員が死亡、TSA職員2人とイリノイ州の旅行者が負傷しました。容疑者は警官に撃たれ病院に収容されました。容態が重く、取り調べには答えられない状態です。このため、詳しい動機はわかっていません。ただ単独犯行で、テロの可能性はなさそうです。

ロサンゼルス周辺には、サンタモニカ空港など小型機専用の空港を除くと4つの大きめの空港があります。LAXは最大の空港で、全米規模でもシカゴのオヘア空港、ニューヨークのJFKに次いで全米3位、世界では6番目に利用客が多い空港です。1日は乱射事件で、17万人の旅行客に影響が出ました。

具体的には、事件発生から夜遅くまでLAXが事実上閉鎖されました。成田からの便を含め国際便の多くは予定通り着陸できたのですが、搭乗客は8時間近く飛行機の中に閉じ込められました。パスポート・コントロールや税関が混乱、ようやく外に出た旅行客は交通手段がないため、スーツケースを引きずりながら数キロ歩いて通行止め周辺から脱出したようです。成田から渡航した知人の1人は、まるでハリウッド映画のシーンのようだったと話しています。映画の都の空の玄関が、まさかの現実になったのです。

LAXを含めアメリカの空港は、テロのターゲットになる可能性があるため、安全に関する対策は世界で最も進んでいます。しかし、今回のような乱射事件が発生した際の対策、特に旅行客の対策が全く出来ていないことが露呈しました。事件発生後にLAXのウェブサイトには55万のアクセスがあり、クラッシュ寸前になったことも明らかになりました。また、赤十字が空港近くに300人分の簡易ベッドや飲料などを準備しましたが、利用したのはたった1人だったとロサンゼルス・タイムズが伝えました。

事件を教訓に、LAXの責任者はXデーのマニュアルを全面的に見直す方針です。当面、空港へのアクセスが厳しくなることも予想されます。当たり前の反応だと考えます。ただ、個人的には銃規制の議論が高まらないことが不思議でなりません。超大国の暗い側面だと思います。

[NOVEMBER 07 , 2013] No 0105404

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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