2分でわかるアメリカ

2013/11/06短くなった企業寿命


 スマートフォンのパイオニアとも言えるカナダのブラックベリーが4日、ドイツ出身のトーステン・ハインズCEOを解任、主要株主であるカナダの保険会社フェアファクスを含む機関投資家から約10億ドル(約1000億円)を調達する方針を明らかにしました。 

これは身売りの失敗を意味します。アップルのiPhoneやサムスンのギャラクシーに破れたブラックベリー。アメリカでのシェアはわずか2%。株価は過去5年で95%下落し、時価総額は800億ドル(約8兆円)も減りました

再生のため雇われたハインズ氏が主導して発売した新製品「Z10」も不発、現金が枯渇していました。フェアファクスを中心にしたグループが47億ドル(約4700億円)で買収を提案しましたが、資産査定の結果としてバイアウトを断念しました。創業者、レノボ、クアルコム、グーグル、そしてフェイスブックなども買収に関心を示していましたが、今回の決定で可能性は一旦消えました

暫定CEO兼会長に雇われたのはジョン・チェン氏は香港生まれの58歳。アメリカのブラウン大学とカリフォルニア工科大学を卒業後、ユニシスを経てソフトウェア会社のサイベースに移りました。サイベースはアメリカの会社ですが、3年前にドイツのソフト会社SAPに買収されています。苦戦していたサイベースを有力なモバイル向けソフト会社に再生したことが評価されました。

チェン氏には2週間前に声がかかったそうです。発表直後のアメリカのメディアのインタビューに対し、戦略などについての言及を避けました。当面、企業向けに特化したスマートフォンを目指すとみられますが、将来を疑問視する見方が目立ちます。妻を含め、ブラックベリーを利用していた知人は例外無くiPhoneもしくはサムスンに買い替えています。メール以外の機能が酷すぎるとの声をよく聞きます。

メールが読めるブラックベリー5810を発売したのが2002年。わずか11年で生き残りが危ぶまれています。時代の流れの早さ、1つのビジネス・ドメインを継続する難しさを改めて考えさせられるイベントでした。

[NOVEMBER 05 , 2013] No 0105402

※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。

※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

NOTE

このレポートは、Market Editors が信頼に値すると判断した情報を基に作成されています。あくまでも情報提供が目的であり、その結果について責任を負うものではありません。投資に関しましては、投資家ご自身の判断に基づき決定してください。無断転載や引用を禁じます。

Market Editors
【データ提供】

PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

バックナンバー

  • 2019.03.21 更新米中貿易協議、トランプ大統領の表と裏止まっていた貿易をめぐるアメリカと中国の協議が再開します。ムニューシン財務長官とライトハイザー通商代表が3月25日の週に北京を訪問し、劉鶴副首相らと協議。交渉期…
  • 2019.03.20 更新米経済、今年と来年は急減速との予想アメリカ経済が今年と来年に急減速する。FRBの会合(FOMC)前に実施するCNBCの最新の調査でエコノミストがこう予想していることがわかりました。調査にはアメリ…
  • 2019.03.19 更新オルーク氏は「第2のオバマ」?2020年の大統領選の候補者争いが本格化しています。共和党はトランプ大統領を再指名することが確実。対抗する民主党は、これまでに15人が候補者争いに名乗りをあげま…
  • 2019.03.16 更新ドレス脱いだゴールドマンバンク・オブ・アメリカが先月末、投資銀行部門と証券部門から「メリルリンチ」の名前を外すと発表しました。2008年の金融危機で破たん寸前に追い込まれた投資銀行のメ…
  • 2019.03.15 更新「1ドル=60円」の説得力今週、プライベートで日本に滞在しています。実家に行ったり、免許を更新したり。ここ数年、日本に来るごとに強く感じるのは物価の安さです。短期滞在した東京のホテル料金…

「日刊2分でわかるアメリカ(2分でアメリカがわかる)」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

そのほかのマーケット情報

ページトップへ