2分でわかるアメリカ

2013/10/29番外編:プリウスが1200万円する国


シンガポールに来ています。今回が4回目の訪問。1980年代後半のはじめの訪問では、整ったインフラや優れた都市計画に強い印象を受けました。同時に、物価の安さに驚いたことを記憶しています。しかし、訪問を繰り返すうちに物価が上がり、今回の訪問では「高い」と思うことが何度かありました。

為替レートの問題に加え、日本の消費税に相当するGSTが影響しています。1994年に導入された3%のGSTは、2003年に4%に、2004年に5%に、そして2007年に現行の7%に引き上げられました。レストランなどでは、10%のサービス税が加えられることがあります。ホテルやレストランなどは、日本とほとんど変わらない水準に近づきました。食料品や医薬品は日本の倍以上します。ブランド品も高いため、日本人観光客はショッピングに期待しない方がよいと思います。

一方、シンガポールの個人所得税は20%、法人税率は17%と低水準です。キャピタルゲイン税や相続税、贈与税はゼロです。しかし、自動車は凄いことになっています。まず、新規車両登録権利書、つまり車を買う権利を取得する必要があります。値段は月2回の入札で決まるのですが、最新の権利代は普通車が約600万円、ミニバンが約700万円もしました。これに車両本体価格、輸入税20%、GST7%、登録料96万円、道路税などがかかります。

このため、大雑把ですが、シンガポールで車を買うと、日本の約4倍から5倍になります。トヨタのプリウスを買う場合、約1200万円が必要になります。あまりにも高額なため、日本企業の駐在員らは車を諦めるそうです。タクシーの運転手によりますと、かつては100%ローンで買えましたが、現在は総額の50%を収めないと買えないそうです。これだけ車が高いのに、ベントレーやポルシェなど高級車をよく見かけます。

 シンガポールは所得税などが低いため、住みやすそうに思いがちですが、実際にはお金持ちに優しく貧乏人に厳しい税制になっています。こうした税制はリグレッシブ・タックスと呼ばれるのですが、アメリカなどでは批判が少なくありません。 

週末になると、シンガポール中心部からクルマで30分の国境の町、マレーシアのジョホールバルにシンガポール人が殺到します。タバコやお酒の値段は5分の1、食料品なども3分の1程度で売られているためです。日本人の赴任者らもジョホールバルへ向かいます。ゴルフの値段は約5分の1、ハイヤーをマレーシアから呼んでもシンガポールの半分以下でプレーできるからです。時間によっては、長い渋滞が出来て3時間程度かかることもあります。それでも、シンガポールからマレーシアに向かう人が絶えません。

[OCTOBER 28 , 2013] No 0105396

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PROFILE

松島 新(まつしま あらた)氏

執筆者

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。
ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。
平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。
現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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